税務調査の際には代表者に説明責任があるのか?

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアの会社様から先日、以下のような質問を貰いました。

Q:税務調査の際に代表者が説明しなければならないと、税務調査担当官から指摘があり、かなり無理して税務調査に参加しました。今年から法律が変わり代表者が参加するようになったと言われたのですが本当ですか?
A:2017年4月21日に公布された国税総局長規則「No.07/PJ/2017」及びその細則にあたる「No.SE―10/PJ/2017」に具体的な記載があります。
https://peraturanpajak.com/2017/05/04/se-10pj2017/

こちらの国税総局長規則によると、税務調査の開始にあたり、「納税者に対して税務調査開始の通知書と初回ミーティングの通知書が発行される」と規定されています。また、「納税者は本人の出席がもとめられ、法人の場合は取締役が出席する(従業員の同席は可)とされています。そのため今回のご質問はこの取締役が出席するという部分により、参加が求められたのだと考えられます(ただし、必ずしも代表者である必要はないと考えられる)。

また、当該国税総局長規則においては、「十分な知識を有する税務コンサルタントへの委任を行うことが可能」と記載があり、しかるべき委任状を作成すれば、本人の税務調査への出席は必要ないとされています。

ただし、税務調査担当官によっては代表者の同席が必要といって譲らない者もいるものと思われますので、その点はご注意いただければと思います(上記の根拠を示して代表者は必要ないと主張することが必要)。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

日本本社への利益の還流(応用編)

2018 年 1 月 10 日
皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。
前回、日本本社への利益の還流方法について基本的なことを記載しました。今日は少し踏み込んでこの利益の還流について考察してみようと思います。前回解説したそれぞれの方法(配当・利息・役務提供・無形資産・棚卸)のポイントを下記に記載します。
<主なポイント>
①リスクを排除したいのであれば配当での還流を検討する(課税済み利益の還流のためにうまみはない)
②最近、「円建て・USD建て」の親子ローンは利息が否認されることが多いため注意が必要(そのためIDR建ての親子ローンを検討する)
③役務提供での還流は実態を伴う必要があるために金額的な限界がある(日当・交通費などの実費部分の請求など)。
④バックオフィス業務などの役務提供は国際的に5%のマークアップ率で統一されようとしている(そのため、原価にマークアップするのであれば5%が良い)
⑤ロイヤルティや商標権使用料等の無形資産の対価は指摘されやすいが、大きな金額を還流したいのであればこれで還流を検討する(移転価格ドキュメントは必須)
⑥棚卸取引の取引金額に含めると税務当局から指摘されづらくなるが、毎期同じ価格によって取引を行わなければならない(他社への販売価格と統一しなければならない)などの制約が多い
正直「②利息、③役務提供(実費)、④役務提供(5%)」での親会社への還流は限界があります。大きな金額を毎期親会社へ還流したいのであれば「①配当、⑤ロイヤルティ等、⑥棚卸取引」のいずれかによって還流を行います。
<リスクがない配当での還流>
リスクを排除したいのであれば配当によって利益を還流します。課税済み利益の還流であるためにリスクなく親会社へ還流することができるでしょう。
<ロイヤルティによる還流>
ロイヤルティは第2回目のニュースレターでも記載しましたが、否認リスクがかなり高い項目です。そのためにロイヤルティで親会社への還流を行いたいのであれば「移転価格ドキュメント」でガチガチに理論武装を行う必要があります。
ロイヤルティの組成には、下記の3つの理論的根拠があります。
①マーケットアプローチ(市場価格により算定するという考え方)
②コストアプローチ(日本の研究開発コストのインドネシア拠点が負担するという考え方)
③インカムアプローチ(ロイヤルティを超過収益力とする考え方)
インドネシアの移転価格ドキュメントを考えた際に、指摘されやすいのは②の「コストアプローチ」となるでしょう。赤字であればロイヤルティが否認されてしまう現状を鑑みるとインドネシア当局はロイヤルティを③の「インカムアプローチ」によって考えていることが見て取れます。ただし、日本の税務当局は②のコストアプローチによってインドネシア子会社に負担を求めることが多いので注意が必要です。※①の「マーケットアプローチ」できるロイヤルティがもしあれば、それが一番理論的優先度の高い方法となります。

<質問>

Q:では、日本企業が良くロイヤルティを収受する時に「売上の3%をロイヤルティとして収受する」というのは、上記の①~③のいずれの方法でしょうか?
これは(赤字でも収受するとされる契約が多いため)②のコストアプローチの範疇が多いものと考えられます。つまり「日本の研究活動(毎期3億円計上)の成果によってインドネシアの見込売上が100億円計上できるだろう。そのため売上高の3%はロイヤルティとして回収しなければ」という理論建てです。
もちろん「売上の3%をロイヤルティとして収受する」というのを、③のインカムアプローチで検討することも可能です。研究開発活動によって売上高営業利益率を3%押し上げている効果があると主張できれば良いのです。

<質問>

Q:「コストアプローチ」と「インカムアプローチ」の差っていったい何でしょうか?
赤字でも収受しているのであれば②のコストアプローチとして捉えられることが多いですし、赤字では収受しないのであれば③のインカムアプローチと捉えられることでしょう。これを契約書と移転価格ドキュメントに書いておけば良いのです。(下記の通り、インドネシアではインカムアプローチ寄りに契約書とドキュメントを作るので)少なくとも日本の税務当局用には必須なものとなります。
つまり日本の税務当局がコストアプローチで指摘してくるところを、「いやいや、当社はインカムアプローチで考えているために、赤字や低利益水準では回収できないんですよ」と主張するのです。なので主張の材料となる契約書と移転価格ドキュメントが日本の税務当局用に必須なのですね。
反対にインドネシアにおいては「当社はコストアプローチなんですよ」と(契約書等を基に)主張しても、「いや、利益出ていないからダメ!!」と言われてしまうことが多いようなので、インドネシアにおいては、インカムアプローチ寄りに移転価格ドキュメントを整備する必要があり、それに従った契約書を作成する必要があるのです。
<棚卸資産による還流>
棚卸資産での還流は「意図的に還流しているとは把握しづらい」という特徴があります。ポイントとしては、インドネシア子会社独自の製品をまずは探す必要があります。独自製品でなければグループ内の価格があり、それとインドネシアの取引価格が異なってしまうと移転価格上で問題になるためです。
独自製品がいくつかあれば、その中でもインドネシアで既に利益がしっかりと落ちている製品をピックアップします(赤字取引は問題になることが多く価格調整を行っても利益を出す必要があるため)。そしてピックアップした独自製品の金額を調整して、日本親会社へ利益を還流するのです。
ただし、製品の金額をコロコロと変えていれば利益の調整を行っていると指摘され兼ねないので金額の変更には相応の理由が必要となります。また、一度変更した価格は据え置く必要があるために注意が必要です。こちらもローカルファイルにて(同業他社と比較して)十分に利益が出ていることを確認した上で還流することになります。
もちろん製品価格をいじるのはリスクが多くありますが、インドネシアにおける現状の「ロイヤルティは否認」という流れを見ていると、「意図的に還流しているとは把握しづらい製品価格」にて還流を検討する必要もあるのではと考えています。
※もちろん皆様のご認識の通り、あまりおススメできる方法ではありませんが・・・、現状インドネシアでは、税務調査の際にアンダーテーブルを要求されます(詳しくはこちら)。目につく親会社との取引「ロイヤルティやマネジメントフィー、利息など」を適当な理由を付けて否認するというようなことが横行している現状では「仕方のない防衛手段」だと思っています。
不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

現物給与の支給に関しての留意点

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

「現物給与の支給」に関しては、他の各国においても税制の確認が必要ですが、インドネシアでは特に気を付けておく必要があります。

まず、制服やバス送迎代など従業員全員に平等に与えられる類の現物支給は、福利厚生費として損金に算入でき、個人の所得にもならないため、法人側・個人側ともに非課税ということになります。

また、一部の従業員(駐在員)のみに与えられているケースが多い、アパートの住宅費などの現物給与に関しては、「個人的支出」として損金に算入できないため、法人側で課税されますが、こうした現物支給は、本来は個人の課税所得とはならないとされています。そのため、この場合は法人側で課税・個人側で非課税、ということになります。なお、会計上は「賃借料」などの科目で処理を行います。

一方で、アパートを個人契約としておいて、住宅費分を手当として給与に上乗せして支給している企業もあります。この処理方法では法人側では損金として落とし、個人側で課税所得に含める、ということになります。この場合は、法人側で非課税・個人側で課税されます。

なぜこのような処理をしている企業があるかというと、法人税率25%と個人所得最高税率30%を比べた際に、個人所得の方の税率が高いため、個人で課税としておいたほうが安全であろう、という税務署対策のための保守的な考えがあるからです。

しかし、最近では税務調査によってこの手当部分の損金を否認されるケースが出てきています。理屈としては、住宅手当という名目にしても、「個人的支出」には変わりないため、ということです。指摘された時が手当を支給したその年でしたら年末調整で再計算すればよいですが、過去に遡って指摘を受けた場合は結果的に法人側・個人側両方で課税されることになり、2重課税となっています。当然ですがこの分について個人は還付を受けることはできません。

個人への税務調査で指摘を受けるということはゼロではないですが、圧倒的に法人への税務調査の方が多いことと、前述の通り本来は住宅費などの現物給与は個人の課税所得とはならないとされているために、現状は「賃借料」として、法人側で課税・個人側で非課税という処理にした方が安全である可能性が高そうです。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

1 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 25