合弁解消の際の株式譲渡に係る課税関係 /棚卸取引における資金還流

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

先日、弊社のお客様より下記の質問をいただきました。大変興味深い内容であったために、内容を少し変更し、皆様にシェアできればと思います。
【質問内容】
当社は、日本の協力会社のA社と共に、インドネシアに合弁会社B社(製造)を設立し、従前よりインドネシア国内でのビジネスを行っています。この度、当社とA社の協議の結果、合弁を解消することととなりました。合弁の解消にあたりA社が保有するB社株式(30%)を全てルピア建てで購入することとします。
Q1.B社株式の購入にあたる課税関係を教えてください。 

A1.日本や他の諸外国においては「時価純資産法」等の方法により株価算定を行い株価が値上がりしているのであれば、その値上がり益において課税がなされます。ただし、インドネシアにおいては諸外国の課税関係とは異なり、インドネシア独自の取扱い(「KMK 434/KMK.04/1999(財務大臣令)」)がなされています。

この財務大臣令により、非居住者がインドネシア居住者株式を売買した場合、「推定利益(the Estimated net income)」に対して、源泉税が20%課されます。そして、この推定利益は、当該大臣令において売買高(Gross transaction value)の25%とされています。つまり売買高×25%×20%=売買高×5% となります。

※留意すべき部分は、この売買高が「簿価」でも認められるのか?ということですが、基本的には「時価純資産法等」の客観的な価格をベースとした利益の推定と考えられます。

また、日イ租税条約上で、当該取引にかかる源泉税率は10%とされていますので、DGT-1フォームを税務署に提出をすれば、売買高×25%×10%=売買高×2.5%となります。

Q2.日イ租税条約上で、源泉税率10%を適用するためのDGT-1フォームとはどのようなものか教えてください。

A2.DGT-1とは、日本における「居住者証明書交付請求書」と同じものになります。インドネシア国税局がDGT-1という指定のフォーマットを(租税条約適用のための)居住者証明として使っているため、日本のフォーマットではなくDGT-1を使用することになります。

もう一点、過去のニュースレターに紐づいて、ご質問があったものを皆様にも共有できればと思います。

Q1.利益還流のニュースレターにおいて、棚卸取引による還流とありましたが、金額をどのように変更すれば良いかが分かりません。

A.棚卸取引による還流で留意しなければならないことは、内部コンパラ(自社において第三者との間で同様の棚卸取引を行っている場合には、当該金額が正常な取引価格であるとみなす)に留意する必要があり、インドネシアだけを特別扱いすることは難しい現状があります。そのために棚卸資産自体の金額を変えることが難しい場合には、三か国貿易の形態(例えば、物流はタイとインドネシアにおいて直接行うけれども、商流は日本親会社を介す形態)を取るなど、ただ単に棚卸資産自体の金額を変えるのではなく、取引スキームについて理由を付して変更することなども考えられます。

※途中から日本親会社を介すことになる場合には、もちろん相応の理由が必要となりますので、ご注意ください。
不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

サービス料を個人に支払う場合のPPh特殊計算

2018 年 1 月 10 日
源泉税の申告漏れがよく発生するものの1つに、個人に支払うサービスに対する源泉税があります。このサービスには、プログラミング、設計、医者、公証人(Notaris)、鑑定士、会計士、税理士、アクチュアリ等の専門家個人に支払われる報酬が含まれます。このような、雇用契約のない個人に対して支払われる報酬は、PPh23(国内サービスに対する源泉税)の2%ではなく、PPh21のフォーマットにて申告することとされています。このPPh21は通常の計算とは異なる、特殊計算となりますので留意が必要です。

税務局長決定PER31/PJ/2009より、前述の支払いについては、「支払金額の50%×個人所得税率」にて源泉税を決定することとされています。この「個人所得税率」の部分については、厳密には累進課税率の限界税率(その個人に適用となる最高税率)が使用されますが、支払相手の限界税率を知ることは困難なため、一般的には便宜的に5%が使用されます。

また、当該個人が個人事業主登録をしていない場合(NPWPを持っていない場合)は、更に120%課税となります。

上記をまとめて、具体例で計算すると下記のような計算となります。

※Notaris個人への支払報酬合計1,200,000

◆個人がNPWPを持っている場合
1.200.000×50%×5% = 30.000 (源泉税pph21)
1,200,000‐30,000= 1,170,000 (支払い額)
◆NPWPを外注先が持っていない場合
1.200.000×50%×5%×120% = 36.000 (源泉税pph21)
1,200,000‐36,000 = 1,164,000 (支払い額)
本来であれば、このように計算して源泉税を算出しますが、個人は純額として受け取りたい金額(上記の例であれば、源泉税を控除した後の、実際の支払金額が1,200,000となるように計算する)を提示している可能性もありますので、事前の確認が必要になります。
不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

ロケーションセービングの実態

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアは日本に比べると、賃金水準や物価水準が格段に低い現状があります。日系企業はこの賃金水準や物価水準が低いインドネシアでビジネスを行うことによってコストを削減し、十分な利益を確保しようという思惑があります。このロケーションによってコストをセーブすることをロケーションセービングと呼びます。

ロケーションセービングで利益を十分に確保しようと思うことはビジネスの妥当性がある行為ですが、次のような場合には問題になることがあります。

【日本側で問題になる場合】
日系企業が元々インドネシア事業において一定の利益を上げている場合に、インドネシアへの進出の意思決定をするのは、日本親会社が更なる利益を獲得するためであると考えられます(少なくとも今後縮小していくであろう利益をインドネシア現地法人の設立によって維持できるという目的は必要です)。そのため、インドネシア現地法人の設立によって今まで日本親会社につけていた当該利益が全てインドネシア子会社についたとしたら、親会社におけるビジネスの妥当性はないと判断される可能性があります。
※国ごとの税金の取り合いなので、日本の利益がそもそも消えてしまうのは問題と考えられる可能性が高いです。
【インドネシア側で問題になる場合】
ロケーションセービングにおいてインドネシアで事業を行う目的は、賃金水準や物価水準が低いインドネシアにおいてビジネスを行い十分な利益を計上するためにあります。そのため、インドネシアにおいて十分な利益が出ていない場合、日本親会社との取引価格だけ現地相場に比して高額である場合などは、当該ビジネスの妥当性はないと判断される可能性があります。
※私が住んでいるタイにおいて最近頻繁に指摘されている「親会社への高額譲渡」に関しては、この「ロケーションセービング」の考え方からきています。
※例えば賃金水準においても、同じマネージャークラスを採用する場合に日本からの出向者とインドネシア人で格差があれば問題になるために、それを考慮して日本において格差補てん金(給与差額に該当する部分においては日本において所得税が付加されない)の規定があるのです。

このロケーションセービングについても国によって重要視されているか否か(例えば中国やインドにおいては、このロケーションセービングが重要と考えられているため指摘が多い)に違いがあり、インドネシアにて今後どのように取り扱われるかについては、十分に注意すべきものであると考えられます。

※大切なことは移転価格ポリシーを作成する際に、一律の包括概念で作成している会社が多い現状がありますが、国によって賃金水準や物価水準もことなるため、その包括概念は実態に即していないとされる可能性が少なからずあるということです。

移転価格税制は、基本的に個別の事情を重要とし、独立企業間価格を検証することを目的としていますので、ロケーションセービングなどのその国独自の事情なども総合的に勘案して、移転価格ドキュメントを作成してもらえればと思います。

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)
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