インドネシアの損金不算入項目(税務上費用と認められない項目)

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアの法人所得税法第9条に法人の損金不算入(税務上費用とは認められない)となる支出が記載されています。そのため、次に掲げる所得については法人所得税法上、損金不算入となりますのでご注意ください(わかりやすいように文言をまとめています)。
a. 各種配当金
b. 関係者に対する個人的支出
c. 各種準備金及び引当金
d. 医療保険・傷害保険・生命保険等(従業員の給与として課税されている場合は損金算入)
e. 福利厚生費等(すべての従業員に対する業務上必要とされる支出及び遠隔地で給付されるもの)を除く従業員への現物支給。
※ただし、従業員に貸与する自動車等の減価償却費及び維持運営費用の50%は損金不算入のため注意
f. 高額購入(公正価値を超える金額での購入等)
g. 贈与及び寄附金の額(宗教上義務付けられるザカート等は損金算入)
h. 所得税
I. 非関係者に対する個人的支出
J. パートナー又はLLP等に支払われる給与
k. 税務上のペナルティ及び各種罰金
l. ファイナルタックスで源泉徴収(源泉分離課税)を受けた所得等
M. 税務上認められた額以上の減価償却費等
N. 過少申告税制(資本の4倍を超える借入が該当)に対する超過する部分の支払利息
※福利厚生費と維持運営費に関しては判断に迷うところかと思いますが、福利厚生費はすべての従業員への機会均等的な支出(飲食物、制服代など)であり、維持運営費は特定の従業員(営業担当のみ等)に貸与される車及び携帯電話の取得費・減価償却費などであります。
※2016年以降は過少申告税制が整備されたために、資本負債比率が1:4を超える超える会社は、前回お伝えしたDESなどを活用して資本負債比率の変更を行う必要があります(超過支払利息に対して税金が課されてしまいます)。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

インドネシアの子会社再建 ~債権放棄の取扱い~

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアに進出している日系企業は「非常に成功している企業」と「なかなか赤字から抜け出せない企業」に大きく二分化している(しかも進んでいる)ように感じます。特に2010年頃から2015年頃までに進出した企業は「なかなか赤字から抜け出せない」現状があります。
移転価格税制においては、この赤字企業にこそ税務リスクがあります。この税務リスクを取っ払うために、最近日本では「移転価格調整金(移転価格上の適正利益を計上するために不足する部分は日本親会社から補てんするという概念:機能リスク資産が寡少な貿易会社等に適用できる)」という概念を利用し、税務リスクを完全に取っ払おうというドキュメントを目にするようになりました。ただし、インドネシアは日本のように制度が発展していないために、まだまだ税務リスクをなくすことはできない国であります。
赤字企業は、ビジネスリスク・税務リスクのダブルパンチを受ける可能性はありますが、やはりビジネスが上手くいっていない中で「移転価格税制」と言われても、そこまで手が回らないという企業も多いものです。
そのため今日は、ビジネス寄りのお話を1つ。「赤字のインドネシア企業を再建するにあたり、多くの会社が考えるであろう債権放棄(債務免除)」についてお伝えできればと思います。
親子ローンを行っている会社においては貸借対照表の負債項目に借入金が計上されています。例えば、1億円の親子ローンをした場合を考えてみることにしましょう。
<計上仕訳(インドネシア子会社)>※形式上、円で記載
現金預金 1億円 / 借入金 1億円
(ちょっと利率が高いですが)年利3%(円建て・10年)に設定していた場合には、毎年子会社は親会社に対して300万円の利息を支払わなければなりません。ただし、赤字企業の多くは当初入れた資本金を食いつぶしてビジネスを行っているために300万円もの利息を払うことは難しく、未払計上をしているように思います。そして毎年この未払費用が積み上がっているものと思います。
日本親会社は実際にお金が入ってこなかったとしても、会計上にて収益に計上しなければならないために毎年税金を支払っています。ムダな税金が毎年出て行くのであれば、いっそのこと「債権放棄」してしまった方が良いのでは?と日本親会社は考えることになるでしょう。
<債権放棄の計上仕訳(日本親会社)>
①貸倒損失    1億円 / 貸付金 1億円
②子会社支援損  1億円 / 貸付金 1億円
この「貸倒損失」と「子会社支援損」が、日本の税務上において費用(損金)として認められるか、これが非常に難しい問題です。
日本の「貸倒損失規定:法規通9-6-1(4)」に次のような文言があります。
債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
まずは、この規定を基に、「貸倒損失」の範疇で税務上損金に落ちるかを検討します。
この場合の相当の期間とは3~5年が一般的と考えられており、弁済を受ける金額は債務超過の範囲内の金額である必要があります。また、「貸倒損失」に計上するための「金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合」のハードルが高く、事業閉鎖、死亡、行方不明、破産、民事再生、服役などの「客観的な事実」か、資産状況や信用状況、事業の状況の「実態判断」かのいずれかの判断基準が必要となります。
次に、「3~5年債務超過の状態が続いていない場合」や、「貸倒損失計上する判断基準を作れない場合」には、法規通9-6-2により損金に落ちるかの検討に移ります。
「貸倒損失規定:法規通9-6-2」
法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒損失として損金経理をすることができる。
この規定では「全額」が回収できないことが明らかである必要があり、資産は時価評価して検討、取立費用や債権回収に必要な労力を総合的に勘案して全額の回収が難しい旨を証明しなければならない。そのため実務上、認められるハードルはかなり高いという実情があります。※例えば、事業計画及び資産の時価評価一覧表、回収のための取立費用、必要な工数などの客観的な資料の作成を行う必要が考えられます。
「貸倒損失」に該当する理由が乏しい場合には次に、「子会社支援損」の検討に移ります。
「子会社支援損が損金として認められる場合:法規通9-4-1より」
法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるため、やむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
ポイントは「子会社倒産に類する事情(損失負担よりも大きな損失)」があること、「合理的な範囲内」であることなどが挙げられますが、これも実態判断となります。今後も事業を行っていくのであれば、この子会社支援損を適用することは正直いって難しいです(事業を遂行することができない ⇒親会社による支援 ⇒結果として子会社延命の流れが必要)。
法規通9-6-1(4)で検討する
法規通9-6-2で検討する
法規通9-4-1で検討する
この順番で検討することになりますが、債権放棄して子会社支援することはめちゃくちゃハードルが高い実情がありますので、特に「法規通9-4-1:子会社支援損」の濫用だけはしないようにお願いします。ほとんど否認されてしまうので。
※日本親会社が1億円の債権放棄をした場合に、損金否認されてしまうと加算税等を含めて4千万円ほどの税金を支払わなければなりません。また、これを覆す客観的な理論展開が(後付け)できないことが多いのが、これらの規定の特徴です。債権放棄を行う場合には、事前にガチガチに理論を固めておかなければなりません。
もちろん「貸倒損失や子会社支援損」は、損失として認められたら日本親会社の税金額をかなり圧縮する効果があり美味しいものです。ただ、実態としてはズバズバ否認されているために注意して下さい。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

DGT-1フォームの記載方法-1ページ目

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

新DGT-1フォームの記載方法について、最近よくお問合せを頂きますので、数回に分けてご説明できればと思います。今週は特に問題となっている1ページ目の記載方法についてです。

DGT-1フォーム
PART Ⅰは収入の受け取り側(日本側)の会社情報を記載します。Tax ID Numberは13桁の法人番号になります。

PART Ⅱは収入の受け取り側(日本側)がインドネシア居住者ではないことを宣言する欄になります。(7)に日本側の会社名を記載し、(8)に代表者のサインをします。代表者は経理担当者でも通常は問題ありませんが、税務署によって対応が異なる(取締役のサインが求められる)ケースがあるようですので、事前に税務署への確認をお勧め致します。(9)に申請日の日付、(10)に代表者の役職を記載します。

PART Ⅲが今回問題となっている、税務署から居住者証明を受ける欄です。(11)・(15)は受け取り側の居住国(Japan)を記載します。(12)・(13)・(14)については、居住者証明をする期間を記載しますが、日本の税務署は未来の日付は認めてくれませんので留意する必要があります。

この点についての実務的な対応はアーカイブも併せてご確認頂ければと思います。(「新DGT-1フォームの問題点・実務上の対応」
旧フォーマットの1ページ目では、この欄の記載は期間ではなく、税務署が「居住者証明した時点の日付」の記載であり、2ページ目は税務署の認証は不要だったので、あらかじめ1ページを必要な分だけ税務署から認証をもらっておき、2ページ目は都度担当者の署名だけしてインドネシアへ送付するという対応が可能でした。(都度税務署で認証してもらう必要はありませんでした。)しかし、新フォーマットでは将来の日付の記載ができないため、基本的には取引ごとに都度税務署で認証を受ける必要があります。

なお、所轄の税務署に拠りますが、日本語版の添付を求められることが多いようですので、こちらも事前にご確認頂ければと思います。

 

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片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

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