インドネシアの移転価格税制⑪ ~比較対象企業の選定~

2017 年 5 月 19 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回のテーマは移転価格文書化において重要な「比較対象企業の選定」についてです。移転価格税制では第三者と自社の価格を比較して自社の価格が正当なものであることを主張するために、この「比較対象企業の選定」はとても大切なものです。比較対象企業は第三者を指すものですので、換言すれば「第三者の選定」です。この第三者の選定は、上場企業のような公表資料がある会社の場合には当該公表資料から、公表資料がない会社については企業データベースから、「比較対象企業の選定」を行います。※主にはビューロバンダイクやワンソースなどの企業データベースから抽出します。⇒その後にホームページなどで確認したりします。

この際に母集団をピックアップするのですが、その際に製造業であれば「◎◎◎◎の製造業」などと条件を絞って抽出します。(「自動車部品の製造業」などでは範囲が広すぎるために、少しずつ詳細な条件を入れていくことでしょう。)

大きな条件で囲った母集団は数万社、ドキュメントに記載する母集団は300~500ぐらいになるかと思いますが、その全てが利用できるものではありません。比較対象となり得る企業は10~20ぐらいであり、母集団から更に比較可能性を高めるために除外基準を設定して比較対象企業の精度を上げていくのです。

【除外基準(例)】

■監査報告書にて適正意見が出されていない会社

■売上高の規模に大きな差がある会社

■関連会社間取引の割合に大きな差がある会社

■営業損失が発生している会社(TNMMの場合)

■事業活動に大きな差がある会社

■取扱製品に大きな差がある会社

 

このような会社を適宜除外していき、比較対象企業を絞っていくのです。

レポートには、「3万社の類似業種を分析した結果、比較対象企業として選定された会社は20社です。」というような文言を入れて、その後にその20社と利益率の比較をするのです。その際に差異の調整を行った後の営業利益率で比較を行っていくのですが、この差異調整は説明が難しいので割愛します。

このように比較対象企業の抽出ひとつをとっても、その抽出の判断を誤ってしまうと利益率に大きなかい離が出ることも考えられます。特に同様の製品にみえても材料に違いがあるような場合など、取引の分析(製品の分析)などが甘ければ実態とかけ離れた分析をしてしまうこともあるために注意してもらえればと思います。

インドネシア進出実務ガイド出版のご案内

2017 年 5 月 17 日

中央経済社刊  「インドネシア進出実務ガイド」
著者 公認会計士・税理士 中村 正英
(㈱フューチャーワークス代表取締役社長・㈱ユナイテッドファクトリー代表取締役社長)

2017年4月14日に、弊グループ代表の中村正英が執筆した 「インドネシア進出実務ガイド」 (中央経済社)が発刊されました。

海外の有力投資先として脚光を浴びているインドネシアの進出・赴任の手続きから会社法、会計、税務、労務に至るまでの情報を凝縮しています。また、2016年12月30日に改正された移転価格税制(PMK213)についても含めており、既にインドネシアに進出されている日系企業様にはもちろんのこと、これから進出を検討する日系企業様にも有用な1冊となっています。

【書籍紹介】

 

インドネシアの移転価格税制⑩ ~機能・リスク分析~

2017 年 5 月 11 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回のテーマは移転価格において重要な「機能・リスク分析」についてです。こちらの移転価格のローカルファイルを作成するにあたり大切な概念となります。基本的に移転価格税制は取引単位ごとに価格の正当性を検証していくものですが、その際に機能・リスクの分析を併せて行います。会社が行っている取引ごとに機能・リスクを分析していくのですが、取引の形態(各取引に付随する機能・リスク)が類似する場合などは、取引を細分化するのではなくある程度まとめて機能・リスクを確認することも可能です。

また、この機能・リスク分析により、一般的な事業であるか、特殊な事業であるか、製造業か、小売業か、などの分析対象会社の特徴を確認することができるようになります。こちらの特徴をもとにビューロ・バン・ダイク社などのデータベースを利用して比較対象企業(比較対象企業とは、移転価格税制における利益率の適正性を証明するために抽出された機能・リスクが類似する第三者企業をいう)の抽出を行っていくのです。

機能やリスクにはいろいろあるために一概に言えませんが機能・リスクには、

【機能の種類】

製造機能・卸売機能・小売機能・研究開発機能・営業機能・購買機能・販売機能など

【リスクの種類】

為替リスク・信用リスク・在庫リスク・研究開発リスク・製造リスクなど

このような種類があります(もちろん会社によって異なります)。これらの機能とリスクを誰がどのように担っているかを検討し、その上で事業の特殊性を判断していくのです。特殊な事業を行っている場合には、比較対象企業が存在しないとされることもありますが、TNMM(取引単位営業利益法)で比較することが多いように思います。また、TNMMを利用する場合には機能・リスクが複雑ではない会社(基本的には子会社)を分析対象企業とし、比較対象企業のピックアップを容易にします。

このように機能・リスク分析を行わなければ比較対象企業の抽出ができません。移転価格ドキュメント作成の際はこの「機能・リスク」と前回お伝えした「無形資産」の整理が重要な概念となりますのでご確認いただければ幸いです。

 

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