インドネシアの移転価格税制㉑ ~ローカルファイルの具体的項目~

2017 年 8 月 3 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回の移転価格税制のコラムは、「ローカルファイルの具体的項目」について記載します。本当のことを言うと、、、ローカルファイルの具体的な項目は伏せておこうかと思っていたのですが、先日お客さんからマスターファイルの具体的項目(http://futureworks-inc.jp/blog/625)を書いたなら、ローカルファイルの具体的項目についても書いて欲しいとお願いされてしまいました・汗。当コラムを見て参考にして下さる方がいることが、毎週の文章を書く動力源となりますので、可能な限り記載します。参考にしてもらえれば幸いです。

さて、マスターファイルの具体的項目でも目次例を記載しましたが、全体像を確認するためにはローカルファイルにおいても「目次例」を書かないわけにはいきません。

【ローカルファイル目次例】

1.はじめに

1.1本分析の⽬的

1.2本分析の制限要素と条件(Limitation and condition)

2.Executive Summary

2.1分析対象会社及び国外関連者の概要

2.2分析対象取引

2.3分析対象事業年度

2.4特性及び取引の統合

3.関連会社の概要

3.1 親会社の紹介

3.2 分析対象会社の紹介

3.3持分関係

3.4インドネシア移転価格税制の適用の有無

4.国外関連者間の取引

4.1国外関連者間の取引概要

4.2国外関連者間の取引実績

5.産業分析

5.1○○〇産業

5.2□□□産業

5.3△△△産業

6.無形資産の整理

6.1無形資産の移転状況

7.機能・リスクの分析

7.1機能分析

7.2リスク分析

8.独立企業間価格算定方法の選定

8.1概要

8.2独立企業間価格算出方法の選定基準

8.3独立企業間価格算出方法の選定

9.経済的分析

9.1○○取引に係る独立企業間価格の算定及び検証結果

9.2□□取引に係る独立企業間価格の算定及び検証結果

10.結論

 

この目次例を基にしてローカルファイルを作成し、足りない情報は添付資料(例えば:データベースからの比較対象企業の抽出マトリックスや比較対象企業の母集団一覧、比較対象企業の事業概要一覧など)にて補完していく形式をとることになります。

 

目次は大項目の1~10にて構成されており、会社によって少し内容を修正しながら作っていきます。その中の1~5についてはレポートの前提条件や概況情報の記載となり、6~10についてがローカルファイルのコア(適正性の評価)部分になります。この部分の詳細を、下記に記載していきます。

【機能・リスク・資産分析について:項目6&7】

先日のマスターファイルの具体的項目(http://futureworks-inc.jp/blog/625)において次のように記載しています。

<マスターファイルにおける機能・リスク・資産分析の一覧表個所の抽出>

ⅵ 機能・リスク・資産分析の概要

AAAグループの構成会社が遂行する機能、負担するリスク、使用する無形資産は、次の図表の通りです。

⇒図表の挿入(機能・リスク・資産の各項目、究極の親会社の所在国、製造機能の構成会社、販売機能の構成会社)※機能、リスク、無形資産は縦の項目として分類することが通常。横軸の構成会社は基本的に機能で分類する。◎〇△×などの評価基準を設けて、それぞれのエンティティがどのような役割を担っているか一覧できる表を作成する。

マスターファイルにおける機能・リスク・資産分析の概要は、基本的に各ローカルファイルから抽出したこれらの情報の一覧表になります。例えば、貴社がインドネシア、タイ、中国、メキシコに子会社があったとすれば、その各子会社が持っている機能・リスク・資産の状況をローカルファイルにて詳細に記載し、その結果をマスターファイルにまとめるような立付となります。そのためにマスターファイルの内容と齟齬がないように各国の機能・リスク・資産分析をしなければなりません。

 

なお、ローカルファイルの機能・リスクの内容については、「http://futureworks-inc.jp/blog/559」こちらをご確認ください。このURLにより機能・リスクの内容を確認していただくと、機能の1つに研究開発機能があるかと思います。そちらを例に取り、更にイメージを固めてみると、、、

<ローカルファイルにおける機能分析箇所の抽出>

7.1.1 研究開発活動機能(例)

研究開発活動は日本親会社が行っており、分析対象会社で行っている研究開発活動はありません。研究開発活動の成果に関する特許権、ノウハウなどは全て日本親会社が保有しています。

研究開発活動機能は子会社では遂行しておらず、親会社によって遂行されていると分かります。研究開発活動の結果として得られる無形資産についても、もちろん親会社が保有しているために、子会社はその無形資産(ノウハウ等を含む)を利用してインドネシアにおいて製造を行っています。この部分がロイヤルティの支払い(利益配分)などの根拠となるのです。簡単に言うと、リスクを負担して投資のレバレッジをかければそれだけリターンが大きくなるように、移転価格税制においても機能やリスク、無形資産を負担するだけ利益も多く得られると考えるのです。

 

もっと突っ込んで解説すると、そもそも機能・リスク・資産分析は移転価格ポリシーの作成(http://futureworks-inc.jp/blog/610)の段階で把握しなければなりません。こちらのURLの中において、移転価格ポリシー①(簡易版)と移転価格ポリシー②に分類していると思いますが、ポリシー②の重要な部分を抜き出してみると、、、

<移転価格ポリシーの価格設定根拠部分の抽出>

役務提供取引(類型Ⅱ-ⅱ)にて適用する移転価格算定方法:TNMM(取引単位営業利益法)

【価格設定方法の内容】

・役務提供者が使用する利益水準は総費用営業利益率とする。

・役務提供者はシステム開発会社として限定的な機能、リスクを有している。

・役務受益者は当システム開発に関する無形資産を保有している。

・当国外関連取引における超過収益及び損失は役務受益者が負担する。

・役務受益者は両者(役務受益者及び役務提供者)が保有する機能、リスク、資産に応じ、適切な業務委託料を設定する。

移転価格の検証方法:総費用営業利益率が、ローカルファイルの独立企業間利益率レンジに収まる場合には、当取引価格はPMK213及びその他移転価格関連法令に基づき設定されていると判断できる。

どうですか?機能・リスク・無形資産という言葉がふんだんに使われていることが分かるかと思います。つまりポリシーを作り込む場合には、その作成段階で機能・リスク・無形資産の分析が行われ、ローカルファイルやマスターファイルに記載される内容は、その結果を記載することになるのです(ポリシーの中に、TNMMと独立企業間価格算定方法を記載する場合には、必ず機能・リスク・資産の把握は行われるのです)。

 

ちなみに移転価格ポリシー①(簡易版)は次の通りのために、簡易版のポリシーでは機能・リスク・資産分析は行われません。

<簡易版移転価格ポリシーの抽出>

役務内容:役務提供者は、役務受益者が販売活動及び一般管理活動を適正に行うための各種サポート及び必要な知識を得るための役務受益者社員に対する教育・指導を行う。

対価の額の設定方針:役務提供者から派遣した出張者への日当、交通費、宿泊費等の関連費用については、実費額を役務受益者が支払う。

この場合のポリシーは、あくまでもマスターファイルの1つの項目でしかなく、これを基にローカルファイルやマスターファイルを作成する性格のものにはなり得ません。もちろん簡易版のポリシーにおいても、(記載はしませんが)機能・リスク・資産には十分配慮して作成しています。

 

さて、ローカルファイルの目次項目の6~10まで記載しようと思い書き始めましたが、予想以上に長くなってきたので8:「独立企業間価格算定方法の選定」以降の項目については、次回に持ち越そうと思います。

移転価格ドキュメントの作成において最も大切なことは、多国籍企業グループの全体像をしっかりと把握し、各国間の取引内容に齟齬(同じ取引類型において理由もなく違う値付けを行っているような場合)がないこと、移転価格ポリシー・マスターファイル・ローカルファイルの内容に齟齬がないこと、つまり、全体像の把握が最も大切になります。ただし、多くの企業では移転価格のドキュメンテーションをする前に、ビジネスが既に走ってしまっているため、それをそのままに書いてしまうと齟齬が出てしまうこともあります。この場合においても、リスクが顕在化する前にしっかりと対策を取り、将来の移転価格による追徴課税の可能性を極力抑えることが重要となります。

私は移転価格ドキュメントを作成する前(業務が成立する前)に、会社の取引状況のヒアリングをさせていただいています。どのようなところにリスクがあるのかをしっかりと把握していただいた上で、移転価格のドキュメンテーションの作成に移ってもらえれば幸いです。※初回のヒアリングは無料で対応させていただいています。

インドネシアの移転価格税制⑳ ~実務上の問題点~

2017 年 7 月 27 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回の移転価格税制のコラムは、インドネシアの移転価格実務で実際に起こっている問題点をお伝えいたします。

インドネシアの移転価格実務で一体何が起こっているのか?

それは・・・・、「比較対象企業の抽出が困難」であるという問題です。基本的には移転価格税制はその価格の適正性を(資本関係のない)第三者との取引価格と比較して検証するものですが、インドネシアにおいてはこの検証対象となる第三者が圧倒的に少ないという現状があります。

具体的には、経済的分析(ローカルファイルにおいて、比較対象企業の抽出を行い、自社の利益率が比較対象企業の独立企業間レンジに収まっているかを確認する手続き)における比較対象企業のスクリーニングにおいて企業データベースを使用するのですが、このデータベースに登録されているインドネシアの企業数が、日本を含めた他国に比べると圧倒的に少ないという現状があります。このただでさえ少ない登録企業を更に、「インドネシア」、「上場企業」、「産業分類コード」、「支配関係」などによりソートをかけると比較対象企業の母集団が10社を切ってしまうことなども正直あります。

ただし、この母集団はインドネシアにおける広い意味での同業他社を集めたにすぎません。この中には使えない(財務データが入っていない、全く別の製品を取り扱っているなど、比較可能性が担保できない)企業もあるために、ここから更に定量分析(財務データに比較可能性があるかを判定する分析)と定性分析(財務データ以外の製品、機能、リスクなどの要因に比較可能性があるかを判定する分析)が行われ、比較可能性がある企業のみを抽出します。

比較対象企業の少ないインドネシアにおいて、厳密に定量分析及び定性分析を行うと最終的には比較対象企業が0社となってしまうこともあります。0社とはいかないまでも、比較する企業の数が少ないと、比較したとしても客観性がなくなってしまい、指摘される可能性が高まります(税務当局も同様のデータベースを利用しているために指摘は「抽出企業による問題ではなく、TNMM(取引単位営業利益法)の利用そのものが問題」になると考えています⇒詳細は、下記「利益分割法=PS法」に該当する部分を参照)。

元々このスクリーニングによる比較対象企業との比較可能性の担保は、データが豊富に入っている国(例えば日本)においても問題になることがありました。諸外国においてTNMM(取引単位営業利益法)が採用されているのも、基本三法(独立価格比準法、原価基準法、再販売価格基準法)では比較可能性が担保できないという問題点があるためです(TNMMは、製品の多様性の差異や機能の些少な差異は認容する方法のために比較対象企業の絶対数を稼ぎやすい)。

データが豊富に入っている国においても比較対象企業数を十分に確保することができずにTNMMにて評価されることが多い移転価格税制の検証において、インドネシアはTNMMを採用したとしても十分な比較対象企業数を確保することは難しい現状があります。

もちろん少ない比較対象企業においてTNMMで検証するのか、それとも他の方法によって検証するのか、比較対象企業はないという結論にするのかは会社によって判断は異なります(比較対象企業はないという結論のレポートはローカル会計事務所が作成したものでたびたび目にしますが、私的にはそれをもって適正と主張することは難しいと思っています)。

上記で、「抽出企業による問題ではなく、TNMM(取引単位営業利益法)の利用そのものが問題」とお伝えしましたが、比較対象企業(比較対象取引)を見出すことができなかった場合の最も理論的な独立企業間価格の算出方法は、利益分割法=PS法(算出方法詳細:http://futureworks-inc.jp/blog/545, http://futureworks-inc.jp/blog/573)が該当します。

PS法の一種である寄与度利益分割法は、「取引全体に係る合算利益を取引当事者の貢献割合でそれぞれに配分するよう独立企業間価格を算定する方法」とあります。つまり親子間取引のサプライチェーン全体での合算利益を親会社と子会社の貢献割合でしっかり割り当てるということがこの方法の目的です。この方法は一般に同種又は類似した比較対象企業(比較対象取引)がない場合に適用されます。そのためTNMMで比較していたとしても税務当局から「寄与度利益分割法」の採用を求められてしまうことがあるのです。ちなみに上記の「比較対象企業がない」という結論では適正性を主張することが難しいということはPS法の採用が求められるためです。

ただし、日系企業の多くはIDR(インドネシアルピア)の不安定さをリスクと感じており、可能な限り利益は日本につけるように取り組んでいます(キャッシュを円で持っておきたいという思惑があります)。そのため、多くの日系企業が、この「寄与度利益分割法」により検証すると日本に利益をつけすぎている現状(日本は黒字なのに、インドネシアは赤字など)を見ることができるのです。

実務上では、「寄与度利益分割法」の採用も視野にいれて、TNMMを利用しなければなりません。なんでもかんでもTNMMを採用すると、後で問題になることが多く注意が必要です(インドなどの諸外国ではTNMMの濫用が問題となっており、TNMMの適正性が否定される判決も出ております)。移転価格税制におけるドキュメンテーションは、将来の多額の追徴課税リスクが顕在化しないために行うものです。ただし、ドキュメントを作ったからといって追徴課税リスクがなくなるわけではなく、そのドキュメントを基に「何をするか?(どのようにサプライチェーンを変更するか?)」がポイントになります。

日本への利益還流は、基本的に「配当」「利息」「取引価格」のいずれかによって行われます。日本への利益還流は大きなテーマですが、例えばインドネシア一国だけ「取引価格」によって利益を大きく還流している場合なども問題となることですので、その他の各国を含めてグループ全体で足並みを揃えてもらえればと思います。

当社ではマスターファイル、ローカルファイル(インドネシア、タイ、日本)の作成及びその後の国際税務アドバイザリーを行うことが可能ですので、これらの業務につきお困りのお客様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せいただければ幸いです。

インドネシアの移転価格税制⑲ ~マスターファイルの具体的項目~

2017 年 7 月 14 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。前回はマスターファイルの開示事項を次のように記載し、これがマスターファイルの目次になるとお伝えしました。今日はこの目次である各項目に実際の内容をはめ込んで確認してみたいと思います。

【目次】
⇒構成会社一覧(役員一覧、株主一覧)
⇒事業概要
⇒当社の強み
⇒主要商品(製品)の概要
⇒サプライ・チェーン図
⇒主要商品(製品)の市場の概要
⇒役務提供取引に係る移転価格ポリシー
⇒機能・リスク・資産分析の概要(一覧表)
⇒重要な事業再編取引等
⇒研究開発体制
⇒無形資産に係る戦略
⇒無形資産開発施設一覧
⇒無形資産の所有者一覧表
⇒無形資産の契約一覧表
⇒無形資産取引に係る移転価格ポリシー
⇒無形資産の譲渡等
⇒資金調達方法
⇒中心的な金融機能を果たす会社
⇒金融取引の移転価格ポリシー
⇒連結財務諸表
⇒APA(税務ルーリング)の状況
⇒その他項目

この羅列された目次を、少し体系的な目次に見えるよう構成を変えてみます。

【マスターファイル目次】
1.多国籍企業グループの組織構造と事業概要
 ① 構成会社一覧(役員一覧、株主一覧)
 ② 事業概要
  ⅰ 事業概要
  ⅱ 営業収益の源泉(当社の強み)
  ⅲ 主要商品(製品)の概要(サプライ・チェーン図含む)
  ⅳ 主要商品(製品)の市場の概要
  ⅴ 役務提供取引に関する重要な取極め
  ⅵ 機能・リスク・資産分析の概要
  ⅶ 対象年度の重要な事業再編取引等
2.無形資産
 ① 研究開発体制及び無形資産の所有に係る戦略
 ② 無形資産開発施設一覧
 ③ 重要な無形資産の種類及び所有者一覧
 ④ 無形資産に関する重要な取極め
 ⑤ 対象年度の重要な無形資産の譲渡等
3.金融活動
 ① 資金調達方法の概要
 ② 中心的な金融機能を果たす構成会社
 ③ 金融取引に関する重要な取極め
4.財務状況
 ① 連結財務諸表
 ② APA(税務ルーリング)の状況
5.その他項目

このように体系立ててみるとマスターファイルも作成できそうな気がします。この目次を確認した後に、前回のマスターファイル記載項目の文字の羅列(措規第22条の10の5第1項)を改めて確認してみてください(http://futureworks-inc.jp/blog/622)。多くの方は法律の文章を読むことにアレルギー反応を起こしてしまっているだけと分かりますね。

さてこの目次に内容をはめていきます。会社名はAAAとし、構成グループはAAAグループとします。

【マスターファイル目次】※太字部分が実際のマスターファイルに記載される部分
1.多国籍企業グループの組織構造と事業概要
① 構成会社一覧(役員一覧、株主一覧)
AAAグループの構成会社等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地並びに当該構成会社等の間の関係を系統的に示した図は次の通りです。
⇒図表の挿入(項目:構成会社名称、略称、所在地、出資会社、所有割合、役員氏名、主たる事業の内容)
② 事業概要
ⅰ 事業概要
⇒文章の挿入(文章の中で事業をセグメントに分類する)
ⅰ-1 ○○○事業
ⅰ-2 □□□事業
ⅰ-3 △△△事業
※それぞれの事業において関連する製品等の写真を載せると印象がよくなります。
ⅱ 営業収益の源泉(当社の強み)
AAAグループの主な営業収益の源泉(強み)は、次の通りです。
⇒自社の強み(他社優位性)を4~5個くらい列挙
ⅲ 主要商品(製品)の概要(サプライ・チェーン図含む)
AAAグループにおける主要商品(製品)群は次の図表の通りです。これらの商品(製品)群以外に、AAAグループにおいて連結売上高に占める割合が5%超の商品(製品)はありません。
⇒上位5種類の商品(製品)の種類と概要を図表に含める。その他に5%超の商品(製品)がある場合にはそちらも列挙。
また、これらの商品(製品)群に係るサプライ・チェーン図は次の図表の通りです。各商品(製品)群のサプライ・チェーンは概ね同様のために、同図表ではAAAグループのサプライ・チェーン図を記載しています。
⇒サプライ・チェーン図の挿入
ⅳ 主要商品(製品)の市場の概要
AAAグループにおける主要商品(製品)群に係る地域別売上高は、次の図表の通りです。
⇒上記の商品(製品)群の図表と同種類の商品(製品)群の地域別の売上高及び市場の状況を記載
ⅴ 役務提供取引に関する重要な取極め
AAAグループ内において行われる役務提供(研究開発や無形資産に係るものを除く)の内、役務提供取引に関する重要な取極めは、次の図表の通りです。
⇒図表の挿入(項目:取極め、役務提供者、役務受益者、取極め内容、対価設定方針)
※ポリシーの部分をどこまで厚く書くかは会社によって異なる部分です。詳しくは、http://futureworks-inc.jp/blog/610こちらをご確認ください。
ⅵ 機能・リスク・資産分析の概要
AAAグループの構成会社が遂行する機能、負担するリスク、使用する無形資産は、次の図表の通りです。
⇒図表の挿入(機能・リスク・資産の各項目、究極の親会社の所在国、製造機能の構成会社、販売機能の構成会社)※機能、リスク、無形資産は縦の項目として分類することが通常。横軸の構成会社は基本的に機能で分類する。◎〇△×などの評価基準を設けて、それぞれのエンティティがどのような役割を担っているか一覧できる表を作成する。
ⅶ 対象年度の重要な事業再編取引等
対象年度に行われた重要な事業再編取引等はありません。

この後に無形資産・金融取引の各項目が続きます。この2つの部分はノウハウ含まれ、会社ごとに異なる部分なので説明は割愛しますが、それ以外の部分(上記で説明した部分)については、会社の概況情報なのでどの会社も作成することが可能(機能・リスク・資産の整理表はノウハウが必要なために注意)かと思います。

移転価格ポリシーをコンサルに頼んで作成するのであれば、コンサルが無形資産の整理・金融取引の整理を行ってくれますので、それを其のままマスターファイルに当てはめればマスターファイルの主な部分を自社で作成することが可能です。

世界的に移転価格が重要な概念になってきている昨今では、少しずつ移転価格ドキュメントの内容(作成方法)も表に出てきています。ネットや書籍を駆使すれば、マスターファイルやローカルファイルを自身で作ることも可能な時代になりつつあります。もう少し時が流れれば、移転価格ドキュメントは更に一般的なものとなり、自社で作成した移転価格ドキュメントをコンサルがレビューして、移転価格リスクをどのように逓減させていくかを検討する(顧問業務のような形)が一般化されるように思います。
※お客さんの既存スキームや新規スキームに対する税務リスクの洗い出し、検証、改善という税務アドバイザリーが今後の会計コンサルのメイン業務に。決算書、申告書、移転価格ドキュメントなど、会計コンサルの現在の主な“形式的な”成果物は税務リスクを洗い出すためのツールという位置づけに成り替わります。既に流れは始まっていますが、AI会計の発達により、さらにこの流れが加速します。

今はまだ移転価格ドキュメントの作成が主な目的となってしまっています(各国の税制改正に合わせるためにしょうがないのでしょう)が、大切なことは「どうやって移転価格リスク(を含む税務リスク)を減らすか?」に尽きます。移転価格ドキュメンテーションの中には、役務提供、無形資産、研究開発、親子ローンなどの税務調査で問題になりやすい項目が網羅的に記載されることになります。つまり、移転価格の検証(ドキュメンテーション)をすることは、現在日本の税務調査で指摘されることが多い「国外関連者に対する寄附金課税」の諸問題を網羅的に確認することにもなるのです。

アメリカなどの移転価格が発展した国においては、寄附金の概念が少しずつ消滅してきており、移転価格による指摘(国内取引においても)が主なものとなってきています。今後の国際ビジネスはこの「移転価格税制」と「PE認定課税:(参考)http://blog.livedoor.jp/bnthailand/archives/16857392.html」が主な指摘項目になってきますので、ご認識をよろしくお願いします。

当社ではマスターファイル、ローカルファイル(インドネシア、タイ、日本)の作成及びその後の国際税務アドバイザリーを行うことが可能ですので、これらの業務につきお困りのお客様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せいただければ幸いです。

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