不正を防ぐために大会社が行っていること

2018 年 9 月 29 日

前3回にわたってお送りしてきましたい「インドネシアで実際に起こった不正事例」についてですが、今回は不正を防ぐために大会社が行っていることを簡単にお伝えします。過去3回のコラムも下記に載せておきますので、是非ご確認ください。

 

<前回・前々回のコラム>

インドネシアで実際に起こった不正事例(その1):http://blog.livedoor.jp/bnthailand-indonesia/archives/7841992.html

インドネシアで実際に起こった不正事例(その2):http://blog.livedoor.jp/bnthailand-indonesia/archives/8312002.html

インドネシアで実際に起こった不正事例(その3):http://blog.livedoor.jp/bnthailand-indonesia/archives/8558333.html

 

 

まず、1回目の不正事例の記事で載せた下記の業務フローを改めてご確認いただければと思います。こちらも不正が起こらないために必要なものですが、それは一部でしかありません。

 

なぜ一部でしかないかというと、この業務フローというものは現状を表すものですが、反対の側面から見てみると、「現状しか表さないもの」なのです。現状とあるべき業務フローを見比べて自社のコントロールが弱い部分をプロテクトしていくものが必要になります。

 

大会社ではこの問題を解決するために「内部統制」を行い、統制ルールの基で海外子会社の管理を行っています。内部統制実務においては、不正が起こらない体制を構築するために、「業務フロー」、「業務記述書」、「RCM(リスク・コントロール・マトリックス)」の3点セットを作成します。

 

業務フロー:現状の業務フローを表します。

業務記述書:業務フローの取扱い説明書です。ポイントやタイミングを含めて解説します。

RCM:業務フローに並走させ、現在のフローにどのようなリスクが含まれているか、どのようにコントロールを行っているか(行っていくべきか)を細かく記載した一覧表を作成します。

 

さて、例として出荷フローの一部分を抜き出してみました。また、紐づくRCMも一部抜き出しています。このように抜き出してみると、この出荷フローには目に見えない「恣意的取引価格操作」「取引の隠蔽」「架空計上」「入力ミス等」などのリスクが含まれているということが解ります。

 

本来はリスクの摘要列の右側にもう何列かあり、そこにコントロールの詳細などを記載して大きな一覧表としていきます。上場企業ではこれが法定されており、かなり細かな「内部統制ルール」を作り込まなければなりませんが、中小企業では気になる部分を重点的に作成していくべきと考えています。

 

特に海外子会社においては、以前にお伝えしたように「資産不正(横領)」が多いという現状があります。そのためその部分だけでも内部統制ルールを作るべきであり、親会社からみたブラックボックスをなくすこと、海外で特に多い「資産不正(横領)」をなくすこと、これらをまとめた内部統制ルールは親会社も巻き込んで仕組化していくべきです(親会社が何を問題と考えているか、現地の実態として何を本当はみなければならないのか)。

 

仕組みが出来上がれば、自動的に不正はなくなっていきます。重要なのは仕組みづくりであり、従業員の教育ではありません。

小規模事業者用の外形標準課税率の変更

2018 年 8 月 6 日

売上48億ルピアまでの納税者に対する法人税制度が、2018年7月1日より改訂になりました。売上48億ルピアまでの納税者に対する法人税率は、以前は売上に対して見做しで1%でしたが(外形標準課税)、これが、0.5%に引き下げられました。

 

標準税率は25%になりますが、納税者の売上規模によって、下記の通りの税率に区分されています。

 

1.年間売上が500億ルピア以上の企業

⇒標準税率25%

 

2.年間売上が48億ルピア以上、500億ルピア以下の企業

⇒48億ルピアまでの総売上に対する課税所得については、12.5%

 

3.年間売上が48億ルピア以下の企業

⇒売上に対してみなし課税率0.5%(pp46、ファイナルタックス)

 

3.の税率が適用された場合、ファイナルタックスですので、既に源泉されている法人税(pph22, pph23)についての還付を受けることはできません。この税率が適用となった年の繰越欠損金は翌年度に繰り越すことができないので留意が必要です。また、この税率は3年間まで適用可能で、4年目以降は上記の1もしくは2の区分の税率が適用されます。

 

今回は0.5%に減税となりましたが、0.25%まで引き下げる、などの案が議論されているようですので、引き続き注視していく必要があります。

インドネシアで実際に起こった不正事例

2018 年 7 月 5 日

今回のテーマは「インドネシアで実際に起こった不正事例」です。皆様は「不正」と聞いた時にどのようなことを思い出すでしょうか。日本でニュースになる不正はそのほとんどが「財務諸表不正」です。不正会計・脱税など財務諸表や申告書を起因とした不正がドラスティックに報道されるために不正というと、この「財務諸表不正」を思い出す方も多いのではないかと思います。

 

一方、海外では?

 

実は海外の子会社で起こっている不正の内、財務諸表不正は企業全体の8%程度という試算があります(日本公認不正検査士協会資料より)。海外では財務諸表不正よりも注意しなければならない不正があるのです。

 

それは「資産不正(横領)」です。

 

下記の図表からも分かるとおり「資産不正(横領)」にあっては小さいものまで含めると企業全体の85%程度にも上ります。今日は実際にあった「資産不正(横領)」の実際の手口を皆様にお伝えできればと思います。

 

 

【購買担当者へのキックバックにかかる事例】

まずは次の図をご覧ください。

 

 

この「購買担当者へのキックバックにかかる不正」の問題点は、「財務諸表には現れない」というところにあります。日本で度々行われている「財務諸表不正」は、一般的に財務諸表に現れるために監査をしっかりしていれば排除できますが、この「キックバックにかかる不正」は財務諸表を見るだけでは排除することができません。

 

なぜか?これについては仕訳を見ると一目瞭然です。

 

【キックバックにかかる不正の仕訳例】

仕入    20,000/ 買掛金    20,000

 

仕訳はこれだけです。皆様もよくみる仕訳例だと思います。この仕入の20,000が通常価格よりはるかに高いことが問題ですが、仕訳自体に何ら変な個所はありません(証憑類も適正)。

 

親会社に毎月監査済みの決算書を送ってチェックをしているかと思いますが、それでも不正が排除できないのは決算書からでは不正が読み解けないという問題点を抱えているためです。監査によって確認できる不正はそのほとんどが「財務諸表不正」であることを認識しなければなりません。

 

そのために監査法人は監査手続以外に、「内部統制」という手続を踏むのです。この内部統制手続で作成する資料の1つである「業務フロー」を確認してみることにします(購買業務フローの一部分を抜き出して記載します)。

 

【POINT1について】

業務担当者(Person In Charge)と購買担当者(Purchasing)が分かれていることが大きなポイントとなります。

大企業では当たり前に分かれているものであっても中小企業においては、業務担当者が購買についても行っていることがありますので、その際は次のPOINT2において、不正が起きていないかをしっかりと確認をする必要があります。

 

【POINT2について】

マネージャーとダイレクターがそれぞれ承認しサインをします。しっかりとした承認ポイントを置くことが不正を防止する大きなポイントになります。

 

しかし、インドネシアで実際に起こったものはこれらのPOINTについても、しっかりとケアされていました。それでも不正が防げない。それは何故でしょうか。

 

【承認及び業務分掌をしていても不正が防げない理由】

この「購買担当者へのキックバックにかかる事例」において、キーポイントとなる部分は「承認」でも「業務分掌」でもありません。キーポイントは「価格の適正性」です。上記の業務フローでも購買部(Purchasing)とマネージャーとダイレクターの3人を経由して(価格のチェックをして)購入しているにも関わらず、インドネシアにおけるその「モノ」の適正価格を誰も把握していませんでした。

それだけではありません。マネージャーは不正を防止するために(適正価格を把握するために)PIC(担当者)に相見積もりも取らせていました。3社の中で一番安い金額を選んだはずなのに不正が起こってしまっています。

 

キーポイントさえ押さえておけば、相見積もりを取るのはPIC(担当者)ではなく、購買部に取らせるような業務フローを作っていたはずです(これが実体にあった業務分掌)。ただ、上記の業務フローを一見して「ここにリスクがある!」と指摘できる人はほとんどいません。

 

業務フローの作成は自社で行うことも可能ですが、問題点に気が付かない場合もあるので、必ず担当するコンサルのチェックを入れる必要があります。正直、海外の人材の方が(相対的に)このような小金稼ぎの不正テクニックを持っていますので、業務フローを作成する際には細かな部分のケアまでしっかりと行ってもらえればと思います。

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