インドネシアの移転価格税制㉓ ~日本当局が公表するローカルファイルの形式&コンサルの見分け方~

2017 年 8 月 17 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回の移転価格税制のコラムは、「日本当局が公表するローカルファイルの形式」についてお伝えいたします。BEPSプロジェクトの公表する行動計画13においてローカルファイルに記載すべき項目が列挙されています。各国(日本やインドネシアを含める)はこちらの行動計画13に則って国内法を改正していますので、記載すべき内容は各国において大きく異なるところではありません。そのために日本で公表されている最新のローカルファイルの内容を確認することによってインドネシアのローカルファイルの検証が可能なために、今回は「日本当局が公表するローカルファイルの形式」についてお伝えできればと思っております。※国税庁ホームページにおいて、「同時文書化対応ガイド」が公表されており、本日のコラムはそちらの資料の事例を用いたいと思います。。

【同時文書化対応ガイド】
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/pdf/takokuseki_03.pdf

まずは目次を抽出します。
【ローカルファイル目次】
1.当社及びグループの概要
2.国外関連者の概要
3.国外関連取引の詳細
(1)国外関連取引の概要
(2)各国外関連取引に係る契約関係
(3)各国外関連取引の内容と取引価格の設定について
(4)各国外関連取引に係る損益
4.国外関連取引に係る当社とA社の機能及びリスク
(1)当社について
(2)A社について
(3)無形資産の形成への貢献
5.当社及びA社の事業方針等
(1)当社の事業方針等
(2)A社の事業方針等
6.市場等に関する分析
(1)A国市場に関する分析
(2)その他の分析
7.独立企業間価格の算定方法等
(1)独立企業間価格の算定方法
(2)比較対象取引の詳細
8.A社との国外関連取引に密接に関連する取引について

【添付資料】
添付資料1 グループの資本関係図
添付資料2 当社の会社案内
添付資料3 当社の有価証券報告書【企業情報】【事業の内容】
添付資料4 当社の組織図
添付資料5 当社とA社、B社の資本関係を示す図
添付資料6 A社の組織図
添付資料7 各国外関連取引の取引図
添付資料8 当社とA社の間の契約書(「金型及び機械設備販売契約」「原材料供給契約」等)
添付資料9 A社の顧客向け商品のパンフレット
添付資料10 A社の顧客向け商品のプライスリスト
添付資料11 各国外関連取引に係る取引金額等の詳細
添付資料12 2017 年 3 月期の当社とA社の利益配分状況を示すもの
添付資料13 近年の取引価格の推移表
添付資料14 各国外関連取引に係る損益
添付資料15 当社の各国外関連取引に係る損益の作成過程(図)
添付資料16 当社の組織図に所属員数表、業務分掌表(又は規定)を追加したもの
添付資料17 国外関連取引に係る当社及びA社の機能に関する整理表
添付資料18 国外関連取引に係る当社及びA社のリスクに関する整理表
添付資料19 A社の組織図に所属員数表、業務分掌表(又は規定)を追加したもの
添付資料20 当社の有価証券報告書【企業情報】【事業の情報】【研究開発活動】
添付資料21 国外関連取引において使用している無形資産に係る整理表
添付資料22 当社の事業方針等を検討した社内会議資料、議事録
添付資料23 市場分析レポート(○出版)
添付資料24 当社の 2017 年度決算説明会資料「為替の影響」
添付資料25 検証対象損益
添付資料26 検証結果
添付資料27 差異調整関連資料
添付資料28 母集団の法人リスト
添付資料29 当選定基準を設けた理由
添付資料30 選定除外法人リスト
添付資料31 比較対象取引を行う法人の概要資料
添付資料32 国外関連取引と比較対象取引との比較可能性に関する検討資料
添付資料33 利益率の範囲の算定資料
添付資料34 B社の組織図
添付資料35 A社とB社の間の契約書「製品販売契約」
添付資料36 B社の財務諸表(単体)
添付資料37 A社から輸入した製品Xに係るB社の損益
添付資料38 B社がB国の権限ある当局から受けているA社との取引に関する独立企業間価格の算定方法についての確認通知

前回、前々回とお伝えした目次例と比較してみると、当事例ではローカルファイルそのものの分量が少なく、添付資料が多い形式を取っています。実務上において作成されているローカルファイルにおける図表関連については、本文中に差し込むことが可能なものは本文中に記載されている形式が多いです。弊社が作成するローカルファイルにおいて添付資料は10種類程度になります。

当資料を最初に確認した際に思ったことは、「今まではコンサルが積極的には表に出さなかった移転価格文書の具体的な内容が次々と公になってきている」ということでした。例えば、この同時文書を大手コンサルファームに依頼すると300万円程度の価格になるでしょう(5年ほど前は500万円ぐらいしていました)。現在は大手コンサルだけでなく中堅の会計事務所や移転価格専門の会計事務所など、対応できる会計事務所が増えています。供給量が増えたために移転価格文書作成の適正価格も比例して下がっています。ただし、価格も安くなり選択肢は増えましたが、会計業界においては「安かろう悪かろう」も一面として存在しますので、選ぶコンサルをどこにするかは難しい問題です。

対策としては、実際に業務を依頼する前にコンサルから成果物(のイメージ)を見せてもらうと良いと思います。この時に「守秘義務の関係で~うんぬんかんぬん~」と言っている価格の安いコンサル会社は絶対に選んではいけないものと個人的には思います(当社においても顧客情報を全て削除した営業用のひな型がありますので成果物のイメージは教えてもらえるはずです)。

コンサル業界は大きく2つに大別できます。
①ブルーオーシャンの時代から業務を続けているコンサル
②レッドオーシャンになった時代に業務を始めたコンサル

移転価格実務に当てはめてみると、ブルーオーシャンの時代からドキュメンテーション業務を続けているコンサルは、情報をあまり出したがりません。待っていても仕事が来るからです。このようなコンサルが出す情報は、実務的な情報というよりも法律的な情報でしょう。移転価格セミナーが法律概要の説明のように感じるのは実務的な内容が入っていないため。つまりコンサルが情報を出していないためです(法律情報は公開情報)。このコンサルが「守秘義務の関係で~うんぬんかんぬん~」という理由は分かります。供給量が少ない時から業務を行っていたために価格が高いのも納得です。

反対にレッドオーシャンになった時代に業務を始めたコンサルは、積極的に情報を出していきます。待っていたら仕事が来ないからです。このようなコンサルは法律的な情報も実務的な情報もどちらも積極的に公開します。クライアントに業務ができることを的確に説明し、少し価格を安くして対応するのです。このようなコンサルが行う移転価格セミナーが法律概要だけだと違和感を覚えますし、「守秘義務の関係で~うんぬんかんぬん~」と言っていることにも違和感を覚えます。

上記ではブルーオーシャンとレッドオーシャンという文言を用いて比較しましたが、会計業界においてはブルーオーシャン(大手監査法人系会計事務所)とレッドオーシャン(独立系会計事務所)と置き換えても良いかもしれません。時代は少しずつ移り変わりつつあり、大手監査法人系の会計事務所が今や積極的に情報を開示しています。今までは開示されていなかった実務情報も開示するようになりました。値段も少しずつ下がってきています(それでも上記300万円ですが・・・)。独立系の会計事務所では、それ以上の情報を開示し、価格をそれ以上に下げて設定しなければ、「付き合い」以外で仕事を取ることは難しいのです。

弊社では、日本側の取りまとめ(ポリシー&マスターファイル作成)を大手監査法人が行い、インドネシアのローカルファイル作成を弊社が担当するような形式でも業務を行っています。各国の整合性を担保するために大手監査法人が作成するポリシー、マスターファイル、ローカルファイルを確認することもあります(同様に独立系の会計事務所が作成する各種ファイルも確認しています)が、超情報化社会と言われる昨今では大手監査法人と独立系会計事務所の品質に大きな差はなくなってきているように感じます。ただし、日系会計事務所とローカル会計事務所には大きな差がありますのでその点はご注意ください。

さて、本来であれば上記のローカルファイルの内容についてコメントする予定でしたが、話が「コンサルの見分け方」に逸れてしまいました。移転価格ドキュメントの作成に関しては、専門的な知識を保有していることはもちろんですが、①過去の経験(移転価格業務の経験)、②理論的思考回路(価格の正当性の主張)、この2つがとても大切になります。特に日本における移転価格税制は大手監査法人系の会計事務所がその殆どを行っていましたので、会計実務経験が長い独立系会計事務所においても移転価格実務の経験は少ないということも往々にしてあり得ます。事前の面談時にしっかりと内容・スケジュールまで踏み込んで話し合うことが重要です。

長くなりましたので、上記の公表されているローカルファイルの内容についてのコメントは次回以降に書こうと思います。そのためご興味がある方は事前に国税庁が公表する「同時文書化対応ガイド」をご一読いただければと思っております。それでは次回以降のコラムもよろしくお願いします。

※弊社では初回ミーティングを無料で行っております。移転価格ドキュメントの作成を検討されているお客様は積極的にご活用いただければ幸いです。

インドネシアの移転価格税制㉒ ~今回のコラムでローカルファイルの全てが分かる~

2017 年 8 月 10 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回の移転価格税制のコラムは、前回のコラムに引き続き「ローカルファイルの具体的項目(前回コラム:http://futureworks-inc.jp/blog/634)」について記載します。まずは、「ローカルファイルの目次例」について改めて確認してみましょう。

【ローカルファイル目次例】

1.はじめに

1.1本分析の⽬的

1.2本分析の制限要素と条件(Limitation and condition)

2.Executive Summary

2.1分析対象会社及び国外関連者の概要

2.2分析対象取引

2.3分析対象事業年度

2.4特性及び取引の統合

3.関連会社の概要

3.1 親会社の紹介

3.2 分析対象会社の紹介

3.3持分関係

3.4インドネシア移転価格税制の適用の有無

4.国外関連者間の取引

4.1国外関連者間の取引概要

4.2国外関連者間の取引実績

5.産業分析

5.1○○〇産業

5.2□□□産業

5.3△△△産業

6.無形資産の整理

6.1無形資産の移転状況

7.機能・リスクの分析

7.1機能分析

7.2リスク分析

8.独立企業間価格算定方法の選定

8.1概要

8.2独立企業間価格算出方法の選定基準

8.3独立企業間価格算出方法の選定

9.経済的分析

9.1○○取引に係る独立企業間価格の算定及び検証結果

9.2□□取引に係る独立企業間価格の算定及び検証結果

10.結論

前回のコラムにおいては、この目次の「6.無形資産の整理、7.機能・リスクの分析」を記載しました。移転価格ポリシーとの関連性なども書きましたので、参考にしてもらえればと思います。

 

今日は、「8.独立企業間価格算定方法の選定」からの項目をそれぞれ記載します。実はこの移転価格税制コラムの11回目から14回目の記事にこれらの項目の詳細を記載していますので、踏み込んで確認したい方は以下のそれぞれの記事を改めてご確認ください。

【過去ログ】

Part11(比較対象企業の選定):http://futureworks-inc.jp/blog/570

Part12(独立企業間価格算定方法の選定):http://futureworks-inc.jp/blog/573

Part13(データベーススクリーニング等):http://futureworks-inc.jp/blog/580

Part14(利益率レンジ):http://futureworks-inc.jp/blog/583

 

「8.独立企業間価格算定方法の選定」に関して、独立企業間価格の算定方法には次の5つの方法があります。

【独立企業間価格の算定方法】

(1)独立価格比準法(Comparable Uncontrolled Price Method:CUP法)

(2)原価基準法(Cost Plus Method:CP法)

(3)再販売価格基準法(Resale Price Method:RP法)

(4)利益分割法(Profit Split Method:PS法)

(5)取引単位営業利益法(Transactional Net Margin Method:TNMM)

現在、世界的にベストメソッドルールが採用され、これらの方法の中で一番実態にあった方法を適用するとされていますが、闇雲に検討するわけではありません。上記の算定方法の番号順が理論的に客観性の高い順とされています(一番客観性が高い方法はCUP法)ので、これらの方法が適用できるかを1つずつ検討していくことになります。具体的な検討の内容は次のような形で行います。

【8.独立企業間価格算定方法の選定(CUP法の検討箇所)】

CUP法は、比較対象企業と第三者(自社内に同一の取引/製品があるか)又は国外関連者と第三者(グループ内に同一の取引/製品があるか)、第三者同士(外部に同一の取引/製品があるか)の取引において比較可能性が担保できる場合に適用される独立企業間価格算定方法となります。ただし、比較対象企業を含む多国籍企業グループ内においては、第三者との間で同種の取引/製品を同様の(又は類似した)条件で販売又は購入を行っていません。また外部の公開データ等から同種の取引/製品に関する具体的なデータ入手することは困難であり、そのためにCUP法の適用は適切でないと判断しました。

このように上記の算定方法順に一つずつ検討を行っていき、採用する方法を探していくことになります。この時に途中で採用する方法が見つかったとしても、その後の方法の検討がなくなるわけではなく、その他の方法を適用しない理由はしっかりと記載します(これはベストメソッドルールを採用している所以です)。

例えば、CUP法を採用する場合にはそれ以外の方法検討欄には、「CUP法の方がより客観性の高い独立企業間価格の算定方法であるために、CP法の適用は適切ではないと判断しました」このような記載がなされます。

また、移転価格税制においては、取引単位ごとに個別に独立企業間価格を算定するために、この独立企業間価格の算定方法の選定についても取引単位ごとにそれぞれ検討を行うことになります。

 

次に「9.経済的分析」に関しては、独立企業間価格の算定方法の選定と同様に取引単位ごとにそれぞれ行います。上記の目次を更にブレイクダウンしてタイトルだしをしてみようと思います(コラムではこれ以上内容が書けない(申し訳ありません!)ので、必要であれば個別にご連絡ください。その際はどのようなものを作るかの詳細をお伝えいたします ←インドネシアであっても、日本であっても、タイであっても作成するドキュメントの各タイトルは以下の並びが基本となります。そのためお問合せについても国を選ばずお答えいたします)。

【9.経済的分析】

9.1.1比較対象企業の選定

9.1.1.1データベース

9.1.1.2選定基準及び選定プロセス

(1)データベースからのデータ抽出

①地域・国

②上場企業

③経営の継続性

④支配関係

⑤産業分類コード

(2)定量分析

①財務データの入手可能性

②営業損失が発生している企業

③売上高研究費比率が高い企業

④著しく事業規模の異なる企業

(3)定性分析

①著しく異なる商品

②異なる機能を有している企業

③特定の企業との取引に大きく依存している企業

④事業の継続性に疑義が生じている企業

(4)比較対象企業の選定結果

9.1.2独立企業間利益率レンジの算定

9.1.2.1複数年度のデータ使用の有無

9.1.2.2統計的手法

9.1.3算定及び検証結果

 

最後に結論ですが、ローカルファイルによっては取引単位ごとに検証結果をそれぞれ個別に記載し、それをもって結論としているパターンも散見されますが、当社では上記の「経済的分析による検証結果:9.1.3算定及び検証結果」と結論は分けて記載しています。具体的な結論の内容は次のような形になります。

【10.結論】

2016事業年度における分析対象会社の各種取引においては、現時点で取得しうる財務データを基に検証した結果、分析対象会社と国外関連者において所得移転は認められず、関連する国外関連取引についてはPMK213及び関連する移転価格諸法令に準拠していると結論付けられます。

 

さて、いかがでしたでしょうか。前回と併せて確認すればローカルファイルがどのような立付になっているかは確認することができたかと思います。

ただし、移転価格文書の作成において難しいのは、移転価格諸法令を基に各企業が価格を決めているのではなく、各企業が決めた取引価格を移転価格諸法令の枠組みの中にある種“強引”に当てはめることにあります。すべての会社がすべての国外取引を同様の価格で行っているわけはありませんし、各国でかかる原価やコストにおいても大きな違いが現れます。内部コンパラブル(上記の、「国外関連者と第三者(グループ内に同一の取引/製品があるか)の取引において比較可能性が担保できる」という部分)がある場合においても利益率が同一なことはあまり多くはありません。※利益率は比較対象取引の複数年の加重平均利益率を用いて比較することが一般的

そのために何故利益率が大きく異なるのかの“言い訳”を考えなくてはならないのですが、この言い訳に正当性を持たせることが難しくここがノウハウになります。例えば、「販売先が仕入価格を知り得るために薄利で販売している」や「主要原材料を現地で調達することができずに輸入しているために利益率を圧迫している」など、企業ごとにしっかりと反証可能な理由を考えなければなりません。企業によっては自信を持って価格が異なる理由やロイヤルティを支払っている理由を伝えてくれるのですが、将来的に指摘リスクのある理由も多く、リスクがある旨をしっかりと伝え今後の取引フローを再検討するなども我々の仕事になります。

当社では多国籍企業グループの将来課税リスクを全体でどれだけ下げられるかが移転価格のドキュメンテーションを行う上では最も大切なことであると考えていますので、必ず日本親会社とのミーティング及び日本語でのドキュメンテーションの作成を行っているのです。※そのため日本本社と分析対象会社との取引だけではなく、その他各国との取引などサプライチェーンについては詳細に確認しています。

どのようなところにリスクがあるのかをしっかりと把握していただいた上で、移転価格のドキュメンテーションの作成に移ってもらえれば幸いです。※初回のヒアリングは無料で対応させていただいています。

インドネシアの移転価格税制㉑ ~ローカルファイルの具体的項目~

2017 年 8 月 3 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回の移転価格税制のコラムは、「ローカルファイルの具体的項目」について記載します。本当のことを言うと、、、ローカルファイルの具体的な項目は伏せておこうかと思っていたのですが、先日お客さんからマスターファイルの具体的項目(http://futureworks-inc.jp/blog/625)を書いたなら、ローカルファイルの具体的項目についても書いて欲しいとお願いされてしまいました・汗。当コラムを見て参考にして下さる方がいることが、毎週の文章を書く動力源となりますので、可能な限り記載します。参考にしてもらえれば幸いです。

さて、マスターファイルの具体的項目でも目次例を記載しましたが、全体像を確認するためにはローカルファイルにおいても「目次例」を書かないわけにはいきません。

【ローカルファイル目次例】

1.はじめに

1.1本分析の⽬的

1.2本分析の制限要素と条件(Limitation and condition)

2.Executive Summary

2.1分析対象会社及び国外関連者の概要

2.2分析対象取引

2.3分析対象事業年度

2.4特性及び取引の統合

3.関連会社の概要

3.1 親会社の紹介

3.2 分析対象会社の紹介

3.3持分関係

3.4インドネシア移転価格税制の適用の有無

4.国外関連者間の取引

4.1国外関連者間の取引概要

4.2国外関連者間の取引実績

5.産業分析

5.1○○〇産業

5.2□□□産業

5.3△△△産業

6.無形資産の整理

6.1無形資産の移転状況

7.機能・リスクの分析

7.1機能分析

7.2リスク分析

8.独立企業間価格算定方法の選定

8.1概要

8.2独立企業間価格算出方法の選定基準

8.3独立企業間価格算出方法の選定

9.経済的分析

9.1○○取引に係る独立企業間価格の算定及び検証結果

9.2□□取引に係る独立企業間価格の算定及び検証結果

10.結論

 

この目次例を基にしてローカルファイルを作成し、足りない情報は添付資料(例えば:データベースからの比較対象企業の抽出マトリックスや比較対象企業の母集団一覧、比較対象企業の事業概要一覧など)にて補完していく形式をとることになります。

 

目次は大項目の1~10にて構成されており、会社によって少し内容を修正しながら作っていきます。その中の1~5についてはレポートの前提条件や概況情報の記載となり、6~10についてがローカルファイルのコア(適正性の評価)部分になります。この部分の詳細を、下記に記載していきます。

【機能・リスク・資産分析について:項目6&7】

先日のマスターファイルの具体的項目(http://futureworks-inc.jp/blog/625)において次のように記載しています。

<マスターファイルにおける機能・リスク・資産分析の一覧表個所の抽出>

ⅵ 機能・リスク・資産分析の概要

AAAグループの構成会社が遂行する機能、負担するリスク、使用する無形資産は、次の図表の通りです。

⇒図表の挿入(機能・リスク・資産の各項目、究極の親会社の所在国、製造機能の構成会社、販売機能の構成会社)※機能、リスク、無形資産は縦の項目として分類することが通常。横軸の構成会社は基本的に機能で分類する。◎〇△×などの評価基準を設けて、それぞれのエンティティがどのような役割を担っているか一覧できる表を作成する。

マスターファイルにおける機能・リスク・資産分析の概要は、基本的に各ローカルファイルから抽出したこれらの情報の一覧表になります。例えば、貴社がインドネシア、タイ、中国、メキシコに子会社があったとすれば、その各子会社が持っている機能・リスク・資産の状況をローカルファイルにて詳細に記載し、その結果をマスターファイルにまとめるような立付となります。そのためにマスターファイルの内容と齟齬がないように各国の機能・リスク・資産分析をしなければなりません。

 

なお、ローカルファイルの機能・リスクの内容については、「http://futureworks-inc.jp/blog/559」こちらをご確認ください。このURLにより機能・リスクの内容を確認していただくと、機能の1つに研究開発機能があるかと思います。そちらを例に取り、更にイメージを固めてみると、、、

<ローカルファイルにおける機能分析箇所の抽出>

7.1.1 研究開発活動機能(例)

研究開発活動は日本親会社が行っており、分析対象会社で行っている研究開発活動はありません。研究開発活動の成果に関する特許権、ノウハウなどは全て日本親会社が保有しています。

研究開発活動機能は子会社では遂行しておらず、親会社によって遂行されていると分かります。研究開発活動の結果として得られる無形資産についても、もちろん親会社が保有しているために、子会社はその無形資産(ノウハウ等を含む)を利用してインドネシアにおいて製造を行っています。この部分がロイヤルティの支払い(利益配分)などの根拠となるのです。簡単に言うと、リスクを負担して投資のレバレッジをかければそれだけリターンが大きくなるように、移転価格税制においても機能やリスク、無形資産を負担するだけ利益も多く得られると考えるのです。

 

もっと突っ込んで解説すると、そもそも機能・リスク・資産分析は移転価格ポリシーの作成(http://futureworks-inc.jp/blog/610)の段階で把握しなければなりません。こちらのURLの中において、移転価格ポリシー①(簡易版)と移転価格ポリシー②に分類していると思いますが、ポリシー②の重要な部分を抜き出してみると、、、

<移転価格ポリシーの価格設定根拠部分の抽出>

役務提供取引(類型Ⅱ-ⅱ)にて適用する移転価格算定方法:TNMM(取引単位営業利益法)

【価格設定方法の内容】

・役務提供者が使用する利益水準は総費用営業利益率とする。

・役務提供者はシステム開発会社として限定的な機能、リスクを有している。

・役務受益者は当システム開発に関する無形資産を保有している。

・当国外関連取引における超過収益及び損失は役務受益者が負担する。

・役務受益者は両者(役務受益者及び役務提供者)が保有する機能、リスク、資産に応じ、適切な業務委託料を設定する。

移転価格の検証方法:総費用営業利益率が、ローカルファイルの独立企業間利益率レンジに収まる場合には、当取引価格はPMK213及びその他移転価格関連法令に基づき設定されていると判断できる。

どうですか?機能・リスク・無形資産という言葉がふんだんに使われていることが分かるかと思います。つまりポリシーを作り込む場合には、その作成段階で機能・リスク・無形資産の分析が行われ、ローカルファイルやマスターファイルに記載される内容は、その結果を記載することになるのです(ポリシーの中に、TNMMと独立企業間価格算定方法を記載する場合には、必ず機能・リスク・資産の把握は行われるのです)。

 

ちなみに移転価格ポリシー①(簡易版)は次の通りのために、簡易版のポリシーでは機能・リスク・資産分析は行われません。

<簡易版移転価格ポリシーの抽出>

役務内容:役務提供者は、役務受益者が販売活動及び一般管理活動を適正に行うための各種サポート及び必要な知識を得るための役務受益者社員に対する教育・指導を行う。

対価の額の設定方針:役務提供者から派遣した出張者への日当、交通費、宿泊費等の関連費用については、実費額を役務受益者が支払う。

この場合のポリシーは、あくまでもマスターファイルの1つの項目でしかなく、これを基にローカルファイルやマスターファイルを作成する性格のものにはなり得ません。もちろん簡易版のポリシーにおいても、(記載はしませんが)機能・リスク・資産には十分配慮して作成しています。

 

さて、ローカルファイルの目次項目の6~10まで記載しようと思い書き始めましたが、予想以上に長くなってきたので8:「独立企業間価格算定方法の選定」以降の項目については、次回に持ち越そうと思います。

移転価格ドキュメントの作成において最も大切なことは、多国籍企業グループの全体像をしっかりと把握し、各国間の取引内容に齟齬(同じ取引類型において理由もなく違う値付けを行っているような場合)がないこと、移転価格ポリシー・マスターファイル・ローカルファイルの内容に齟齬がないこと、つまり、全体像の把握が最も大切になります。ただし、多くの企業では移転価格のドキュメンテーションをする前に、ビジネスが既に走ってしまっているため、それをそのままに書いてしまうと齟齬が出てしまうこともあります。この場合においても、リスクが顕在化する前にしっかりと対策を取り、将来の移転価格による追徴課税の可能性を極力抑えることが重要となります。

私は移転価格ドキュメントを作成する前(業務が成立する前)に、会社の取引状況のヒアリングをさせていただいています。どのようなところにリスクがあるのかをしっかりと把握していただいた上で、移転価格のドキュメンテーションの作成に移ってもらえれば幸いです。※初回のヒアリングは無料で対応させていただいています。

1 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 27