インドネシアの税務調査

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアの税務調査は非常に理不尽なもので、「一方的な追徴課税がなされる」「アンダーテーブルがまかり通っている」「反証することができない」と多くの日系企業が苦しんでいる現状があります。私も自身のコラムやブログで幾度か「インドネシアの税務調査」についてはテーマとして取り上げていますが、大切なことなので当ニュースレターにおいてもお伝えできればと思っております。
「何故、インドネシアの税務調査は理不尽であるのか?」
これは、インドネシアの税務調査担当官に付与されている権限及び立証責任に原因があります。
【税務調査担当官に付与されている権限】
●税務調査通知書(SPPP)の発行権限
●調査査定書(SPHP)の発行権限
●更正通知書(SKP)または徴税通知書(STP)の発行権限
●納税額等を決定する権限
●書類の押収権限(1月以内の提出)
●資料作成を求める権限
●インドネシア語に翻訳させる権限
●市場価格の算定権限
【立証責任】
●納税者側に立証責任
インドネシアの税務調査では税務調査担当官が過大な権限を保有しています。税務調査担当官は「税務調査を自身で始めることができ、市場価格を自身で決めて納税額を決定することができ、調査の説明資料(SPHP:調査査定書)を作成することができ、自分の言っていることは正しいので(納税者側で不服があるなら)税務裁判を起こして立証してくださいというスタンスを取っている」のです。これだけの権限を付与していれば税額ふっかけてアンダーテーブル要求してくるのも必然です。
※ただし、世界的にみると納税者側に立証責任が付されている国は多く、そのため発展途上国においては税務調査で賄賂が横行しているのです。

ちなみに日本の税務調査の調査担当官の権限と立証責任は次の通りです。

【日本の税務調査担当官に付与されている権限】
●質問検査権
【立証責任】
●基本的には課税庁側に立証責任(明確に定められてはいませんが、過去の判例でそのように考えられています)。
ここにいう「質問検査権」とは、国税通則法において定められており「質問」、「検査」、「提示」、「提出」、「留置」が含まれています。つまり日本の税務調査担当官は“事実関係の洗い出し”が仕事であり、その職務内容に“判断(意思決定)”は含まれていません。判断(意思決定)するのはあくまでも税務署長です。そのため日本の税法の多くには、「税務署長は、○○することができる」というような、税務署長が主体となった書き方がなされているのです。

日本とインドネシアにおける税務調査は全く違うものです。インドネシアにおいて、ロイヤルティやマネジメントフィー、利息やその他の役務提供費用(親会社への支払は指摘が容易)がことごとく否認されているのはこのような背景があるのです。あまりにも理不尽な税務調査ですが、インドネシアではこれがスタンダードなので、その上でどのように対応するかを日系企業においても考えなければなりません。

では実際にはどのように対応するか?
良く言われているのが(コンサルが良く言うのは)「ロイヤルティは3%まで、マネジメントフィーは払わない方がよい、利息はUSD建てや円建てが2%~3%、IDR建てが5%まで、役務提供費用は実費精算」などでしょうか。皆さんも一度は聞いたことがあるかと思います。ただ、それに合わせてもインドネシアの担当官は「ロイヤルティ3%ダメ、1.5%にして」、「USD利率3%ダメ、1.5%にして」と根拠もなし(良くわからない根拠と共に)にいってきます。正直いうと親会社に対して“何かしらの支払い”を行っていれば何だかんだ理由を付けて指摘されているように思います。※もはやパーセンテージの問題ではありません。どこが指摘しやすいかです。

実際にどのように対応するかを考える時に日本側の税務調査をも意識しなければなりません。特に最近では日本側の税務調査においてロイヤルティを収受(売上の2%~3%)するように指摘されることが多いようです。※技術を使っていればロイヤルティ、同じ商号や顧客リストを利用していればロイヤルティなど、インドネシアが赤字でも黒字でもロイヤルティの収受を行うように日本の税務調査において指摘を受けることが多いようです。

結論から言ってしまうと実際に考えられる対応は・・・・

<実際の対応方法>
①インドネシアにおいて指摘されづらい理論的根拠を構築する
②棚卸取引などのインドネシア当局の目につかないような項目で収受する
③アンダーテーブルを支払う
ただし、①で検討するのであれば「移転価格ドキュメント」は必須で用意しなければなりません。②でも「移転価格ドキュメント」は作成した方が良いでしょう。③はイリーガルな交渉なので「移転価格ドキュメント」の効果は薄いでしょう。
※税務調査での指摘を反証することが「税務裁判」しかなかったインドネシアにおいて、「移転価格ドキュメント」という反証できるアイテムが増えたということは非常に喜ばしいことだと思います。

例えば、従来より指摘のされやすいロイヤルティを収受するのであれば、しっかりと「移転価格ドキュメント」を作成してインドネシアにおいて指摘されづらい「インカムアプローチ」によりポリシーをもっておくことが良いでしょう(ただし、その他各国とのアプローチ方法が違うと問題になることもあるのでしっかりとポリシーを作り込む必要があります。場合によってはコストアプローチとインカムアプローチの両建てのポリシーにするなどの検証も必要。)

※コストアプローチやインカムアプローチの詳細は前回のニュースレターをご確認ください⇒http://blog.livedoor.jp/bnthailand-indonesia/archives/5093626.html

棚卸取引に含めて収受することも可能かと思いますが、日本の税務当局の意向をしっかりと確認しなければなりません。また、インドネシア以外の各国に展開している場合などは、その他各国との整合を取ることが難しい方法でもあります。また、棚卸取引に含める方法は、公明正大な方法ではないために上場企業などコンプライアンス重視の企業では採用は難しいでしょう。

アンダーテーブルを支払ってしまうというのも1つの対応方法であると思います。ただし、交渉を行うのは日本人では無理なのでインドネシア人にお願いしなければなりません。そのような交渉が得意?だというローカルのコンサルも多く存在しますが、本当なのか、嘘なのか、正直実態を見抜くのは難しいものと思います。また、アンダーテーブルの交渉に乗ってこない税務調査担当官などの場合には、全てが否認されてしまう可能性があり、金額的なリスクは相応に高くなります。

総合的なポイントは、多国籍企業としての自社のビジネスをしっかりと認識し、インドネシアだけではなく、企業グループ全体の税務リスクをどのように下げていくのかを検討することです。これを検討するのは究極の親会社である日本本社が行うべきことであり、日本本社が作った形の中でインドネシア法人においても活動した方が、納まりが良いと感じています。そのため弊社で移転価格ドキュメントを作成する場合には、親会社の担当者様と連携を密にして作成することが多いのです。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

海外送金に関する規制について

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアの外貨管理制度と海外への送金規制は、他のアジア諸外国と比べて特別厳しいというわけではありませんが、関連する法規や通達が多岐に渡りますので留意が必要です。

たとえば投資法では、国内外への外貨による送金の自由が定められていますが、2011年に改正された通貨法では、「インドネシア国内取引の決済としてルピアを使用」することが義務付けられています。そのため、国内では必ずルピア建てにて取引することになります。

一方で、国外へのルピア建ての支払いに関しては、インドネシア中央銀行令7/14/PBI/2005号にて、インドネシア国内の商業銀行が「外国法人へルピア建ての送金」をすることを禁じていますので、基本的に不可になります。

また、国外への外貨建ての支払い(具体的には、商品・サービスの輸入、海外で消費したサービス、外国人雇用に関する支払い、債務の返済、海外での資産購入など)については基本的に自由に行えますが、1か月に10万米ドル以上の外貨を購入した場合には、インボイスなどの外貨購入の必要性を証明する書類の提出が求められます。

外貨管理と海外送金に関しては、外国為替法・投資法・通貨法・大統領令・財務大臣令・インドネシア中央銀行規則などで個別に規制がありますので、送金に際して事前の確認が必要となります。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

税務調査の際には代表者に説明責任があるのか?

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアの会社様から先日、以下のような質問を貰いました。

Q:税務調査の際に代表者が説明しなければならないと、税務調査担当官から指摘があり、かなり無理して税務調査に参加しました。今年から法律が変わり代表者が参加するようになったと言われたのですが本当ですか?
A:2017年4月21日に公布された国税総局長規則「No.07/PJ/2017」及びその細則にあたる「No.SE―10/PJ/2017」に具体的な記載があります。
https://peraturanpajak.com/2017/05/04/se-10pj2017/

こちらの国税総局長規則によると、税務調査の開始にあたり、「納税者に対して税務調査開始の通知書と初回ミーティングの通知書が発行される」と規定されています。また、「納税者は本人の出席がもとめられ、法人の場合は取締役が出席する(従業員の同席は可)とされています。そのため今回のご質問はこの取締役が出席するという部分により、参加が求められたのだと考えられます(ただし、必ずしも代表者である必要はないと考えられる)。

また、当該国税総局長規則においては、「十分な知識を有する税務コンサルタントへの委任を行うことが可能」と記載があり、しかるべき委任状を作成すれば、本人の税務調査への出席は必要ないとされています。

ただし、税務調査担当官によっては代表者の同席が必要といって譲らない者もいるものと思われますので、その点はご注意いただければと思います(上記の根拠を示して代表者は必要ないと主張することが必要)。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

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