サービス料を個人に支払う場合のPPh特殊計算

2018 年 1 月 10 日
源泉税の申告漏れがよく発生するものの1つに、個人に支払うサービスに対する源泉税があります。このサービスには、プログラミング、設計、医者、公証人(Notaris)、鑑定士、会計士、税理士、アクチュアリ等の専門家個人に支払われる報酬が含まれます。このような、雇用契約のない個人に対して支払われる報酬は、PPh23(国内サービスに対する源泉税)の2%ではなく、PPh21のフォーマットにて申告することとされています。このPPh21は通常の計算とは異なる、特殊計算となりますので留意が必要です。

税務局長決定PER31/PJ/2009より、前述の支払いについては、「支払金額の50%×個人所得税率」にて源泉税を決定することとされています。この「個人所得税率」の部分については、厳密には累進課税率の限界税率(その個人に適用となる最高税率)が使用されますが、支払相手の限界税率を知ることは困難なため、一般的には便宜的に5%が使用されます。

また、当該個人が個人事業主登録をしていない場合(NPWPを持っていない場合)は、更に120%課税となります。

上記をまとめて、具体例で計算すると下記のような計算となります。

※Notaris個人への支払報酬合計1,200,000

◆個人がNPWPを持っている場合
1.200.000×50%×5% = 30.000 (源泉税pph21)
1,200,000‐30,000= 1,170,000 (支払い額)
◆NPWPを外注先が持っていない場合
1.200.000×50%×5%×120% = 36.000 (源泉税pph21)
1,200,000‐36,000 = 1,164,000 (支払い額)
本来であれば、このように計算して源泉税を算出しますが、個人は純額として受け取りたい金額(上記の例であれば、源泉税を控除した後の、実際の支払金額が1,200,000となるように計算する)を提示している可能性もありますので、事前の確認が必要になります。
不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

ロケーションセービングの実態

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアは日本に比べると、賃金水準や物価水準が格段に低い現状があります。日系企業はこの賃金水準や物価水準が低いインドネシアでビジネスを行うことによってコストを削減し、十分な利益を確保しようという思惑があります。このロケーションによってコストをセーブすることをロケーションセービングと呼びます。

ロケーションセービングで利益を十分に確保しようと思うことはビジネスの妥当性がある行為ですが、次のような場合には問題になることがあります。

【日本側で問題になる場合】
日系企業が元々インドネシア事業において一定の利益を上げている場合に、インドネシアへの進出の意思決定をするのは、日本親会社が更なる利益を獲得するためであると考えられます(少なくとも今後縮小していくであろう利益をインドネシア現地法人の設立によって維持できるという目的は必要です)。そのため、インドネシア現地法人の設立によって今まで日本親会社につけていた当該利益が全てインドネシア子会社についたとしたら、親会社におけるビジネスの妥当性はないと判断される可能性があります。
※国ごとの税金の取り合いなので、日本の利益がそもそも消えてしまうのは問題と考えられる可能性が高いです。
【インドネシア側で問題になる場合】
ロケーションセービングにおいてインドネシアで事業を行う目的は、賃金水準や物価水準が低いインドネシアにおいてビジネスを行い十分な利益を計上するためにあります。そのため、インドネシアにおいて十分な利益が出ていない場合、日本親会社との取引価格だけ現地相場に比して高額である場合などは、当該ビジネスの妥当性はないと判断される可能性があります。
※私が住んでいるタイにおいて最近頻繁に指摘されている「親会社への高額譲渡」に関しては、この「ロケーションセービング」の考え方からきています。
※例えば賃金水準においても、同じマネージャークラスを採用する場合に日本からの出向者とインドネシア人で格差があれば問題になるために、それを考慮して日本において格差補てん金(給与差額に該当する部分においては日本において所得税が付加されない)の規定があるのです。

このロケーションセービングについても国によって重要視されているか否か(例えば中国やインドにおいては、このロケーションセービングが重要と考えられているため指摘が多い)に違いがあり、インドネシアにて今後どのように取り扱われるかについては、十分に注意すべきものであると考えられます。

※大切なことは移転価格ポリシーを作成する際に、一律の包括概念で作成している会社が多い現状がありますが、国によって賃金水準や物価水準もことなるため、その包括概念は実態に即していないとされる可能性が少なからずあるということです。

移転価格税制は、基本的に個別の事情を重要とし、独立企業間価格を検証することを目的としていますので、ロケーションセービングなどのその国独自の事情なども総合的に勘案して、移転価格ドキュメントを作成してもらえればと思います。

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

インドネシアの税務調査

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

インドネシアの税務調査は非常に理不尽なもので、「一方的な追徴課税がなされる」「アンダーテーブルがまかり通っている」「反証することができない」と多くの日系企業が苦しんでいる現状があります。私も自身のコラムやブログで幾度か「インドネシアの税務調査」についてはテーマとして取り上げていますが、大切なことなので当ニュースレターにおいてもお伝えできればと思っております。
「何故、インドネシアの税務調査は理不尽であるのか?」
これは、インドネシアの税務調査担当官に付与されている権限及び立証責任に原因があります。
【税務調査担当官に付与されている権限】
●税務調査通知書(SPPP)の発行権限
●調査査定書(SPHP)の発行権限
●更正通知書(SKP)または徴税通知書(STP)の発行権限
●納税額等を決定する権限
●書類の押収権限(1月以内の提出)
●資料作成を求める権限
●インドネシア語に翻訳させる権限
●市場価格の算定権限
【立証責任】
●納税者側に立証責任
インドネシアの税務調査では税務調査担当官が過大な権限を保有しています。税務調査担当官は「税務調査を自身で始めることができ、市場価格を自身で決めて納税額を決定することができ、調査の説明資料(SPHP:調査査定書)を作成することができ、自分の言っていることは正しいので(納税者側で不服があるなら)税務裁判を起こして立証してくださいというスタンスを取っている」のです。これだけの権限を付与していれば税額ふっかけてアンダーテーブル要求してくるのも必然です。
※ただし、世界的にみると納税者側に立証責任が付されている国は多く、そのため発展途上国においては税務調査で賄賂が横行しているのです。

ちなみに日本の税務調査の調査担当官の権限と立証責任は次の通りです。

【日本の税務調査担当官に付与されている権限】
●質問検査権
【立証責任】
●基本的には課税庁側に立証責任(明確に定められてはいませんが、過去の判例でそのように考えられています)。
ここにいう「質問検査権」とは、国税通則法において定められており「質問」、「検査」、「提示」、「提出」、「留置」が含まれています。つまり日本の税務調査担当官は“事実関係の洗い出し”が仕事であり、その職務内容に“判断(意思決定)”は含まれていません。判断(意思決定)するのはあくまでも税務署長です。そのため日本の税法の多くには、「税務署長は、○○することができる」というような、税務署長が主体となった書き方がなされているのです。

日本とインドネシアにおける税務調査は全く違うものです。インドネシアにおいて、ロイヤルティやマネジメントフィー、利息やその他の役務提供費用(親会社への支払は指摘が容易)がことごとく否認されているのはこのような背景があるのです。あまりにも理不尽な税務調査ですが、インドネシアではこれがスタンダードなので、その上でどのように対応するかを日系企業においても考えなければなりません。

では実際にはどのように対応するか?
良く言われているのが(コンサルが良く言うのは)「ロイヤルティは3%まで、マネジメントフィーは払わない方がよい、利息はUSD建てや円建てが2%~3%、IDR建てが5%まで、役務提供費用は実費精算」などでしょうか。皆さんも一度は聞いたことがあるかと思います。ただ、それに合わせてもインドネシアの担当官は「ロイヤルティ3%ダメ、1.5%にして」、「USD利率3%ダメ、1.5%にして」と根拠もなし(良くわからない根拠と共に)にいってきます。正直いうと親会社に対して“何かしらの支払い”を行っていれば何だかんだ理由を付けて指摘されているように思います。※もはやパーセンテージの問題ではありません。どこが指摘しやすいかです。

実際にどのように対応するかを考える時に日本側の税務調査をも意識しなければなりません。特に最近では日本側の税務調査においてロイヤルティを収受(売上の2%~3%)するように指摘されることが多いようです。※技術を使っていればロイヤルティ、同じ商号や顧客リストを利用していればロイヤルティなど、インドネシアが赤字でも黒字でもロイヤルティの収受を行うように日本の税務調査において指摘を受けることが多いようです。

結論から言ってしまうと実際に考えられる対応は・・・・

<実際の対応方法>
①インドネシアにおいて指摘されづらい理論的根拠を構築する
②棚卸取引などのインドネシア当局の目につかないような項目で収受する
③アンダーテーブルを支払う
ただし、①で検討するのであれば「移転価格ドキュメント」は必須で用意しなければなりません。②でも「移転価格ドキュメント」は作成した方が良いでしょう。③はイリーガルな交渉なので「移転価格ドキュメント」の効果は薄いでしょう。
※税務調査での指摘を反証することが「税務裁判」しかなかったインドネシアにおいて、「移転価格ドキュメント」という反証できるアイテムが増えたということは非常に喜ばしいことだと思います。

例えば、従来より指摘のされやすいロイヤルティを収受するのであれば、しっかりと「移転価格ドキュメント」を作成してインドネシアにおいて指摘されづらい「インカムアプローチ」によりポリシーをもっておくことが良いでしょう(ただし、その他各国とのアプローチ方法が違うと問題になることもあるのでしっかりとポリシーを作り込む必要があります。場合によってはコストアプローチとインカムアプローチの両建てのポリシーにするなどの検証も必要。)

※コストアプローチやインカムアプローチの詳細は前回のニュースレターをご確認ください⇒http://blog.livedoor.jp/bnthailand-indonesia/archives/5093626.html

棚卸取引に含めて収受することも可能かと思いますが、日本の税務当局の意向をしっかりと確認しなければなりません。また、インドネシア以外の各国に展開している場合などは、その他各国との整合を取ることが難しい方法でもあります。また、棚卸取引に含める方法は、公明正大な方法ではないために上場企業などコンプライアンス重視の企業では採用は難しいでしょう。

アンダーテーブルを支払ってしまうというのも1つの対応方法であると思います。ただし、交渉を行うのは日本人では無理なのでインドネシア人にお願いしなければなりません。そのような交渉が得意?だというローカルのコンサルも多く存在しますが、本当なのか、嘘なのか、正直実態を見抜くのは難しいものと思います。また、アンダーテーブルの交渉に乗ってこない税務調査担当官などの場合には、全てが否認されてしまう可能性があり、金額的なリスクは相応に高くなります。

総合的なポイントは、多国籍企業としての自社のビジネスをしっかりと認識し、インドネシアだけではなく、企業グループ全体の税務リスクをどのように下げていくのかを検討することです。これを検討するのは究極の親会社である日本本社が行うべきことであり、日本本社が作った形の中でインドネシア法人においても活動した方が、納まりが良いと感じています。そのため弊社で移転価格ドキュメントを作成する場合には、親会社の担当者様と連携を密にして作成することが多いのです。

 

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

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