法人税申告の税率・留意点

2018 年 2 月 26 日

ご存知の通り、法人税の確定申告期日は課税年度末から4か月目の月末となりますので、12月決算の会社は4月末が期限となります(国税局への申請により2か月までの延長は可能ですので、6月末が最長の期限です)。

そのため、法人税申告に向けて法定監査などの手続きを進めている会社も多いかと思います。今回は法人税申告の税率・留意点についてです。

 

標準税率は25%になりますが、納税者の売上規模によって、下記の通りの税率に区分されます。

 

①年間売上が500億ルピア以上の企業

⇒標準税率25%

 

②年間売上が48億ルピア以上、500億ルピア以下の企業

⇒48億ルピアまでの総売上に対する課税所得については、12・5%

 

③年間売上が48億ルピア以下の企業

⇒売上に対してみなし課税率1%(pp46、ファイナルタックス)

*ファイナルタックスですので、既に源泉されている法人税(pph22, pph23)についての還付を受けることはできないのでご留意ください。

 

 

なお、前年度の法人税額に基づいて、法人税の毎月の予納(pph25)が必要になります。

このpph25の計算は下記の通りです。

 

  • 前年度が上記①もしくは②の区分の税率だった場合

 

1.前年度税務上利益額―(前年度に発生した特別損益+前年度に発生した為替差損益)= 修正前年度利益額(Y)

 

2.修正前年度利益額(Y)より税率25%を乗じて法人税額を計算(Y’)

(*例え前年度の税率が②の区分であったとしても、25%で計算されますので、ご留意ください。この場合、利益が前年度より大きくならないと、予納によって還付ポジションになる可能性が高くなってしまいます。)

 

3.(Y’)―(前年度に支払ったpph22+前年度に源泉されたpph23)=今年度みなし法人税額(Z)

 

4.(Z)÷12カ月=今年度予納月額(X)

 

*この予納の仕組みにより、前年度の利益額を下回ると還付申請をする必要性が高くなるので留意が必要です。

 

  • 前年度が上記③の区分の税率だった場合

毎月の売上高×1%を納税する。

 

 

なお、過去5年間までの繰延欠損金と税務上の利益との相殺が可能ですので、前年度に利益を計上したとしても前年度には法人税の納税がない場合があります。しかし、今年度期首の繰延欠損金が今年度みなし法人税額(Z)より小さい場合には、前年度の法人税の納税がなかったとしても、今年度は予納しなければならない可能性があります。

 

たとえば、前年度利益100、前年度繰延欠損120の場合(pph23などの源泉はなく、為替差損などもない単純なケースを想定します。)

前年度利益100-前年度繰延欠損120=▲20 となりますので、前年度での法人税納税はありません。

 

しかし、予納を計算した場合は、

前年度利益100×25%=25(今年度みなし法人税額(Z)) となりますので、

今年度期首の繰延欠損金(▲20)が今年度みなし法人税額(25)より小さくなっています。

この場合、25(今年度みなし法人税額(Z))÷12か月≒2.08を毎月予納しなければなりません。

 

 

このように、インドネシアの法人税の計算と予納計算は複雑ですので、今年度確定申告の税率はいくらなのか、来年度の予納は毎月いくらなのかを、一度確認されてはいかがでしょうか。

 

DGT-1フォームの記載方法-3ページ目

2018 年 1 月 22 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

以前のブログに引き続き、新DGT-1フォームの記載方法について解説します。

今週は3ページ目の記載方法についてです。

PARTⅦは記入必須項目になります。
このパートでは、受益者(日本法人)について、実質的な所有者が他にいないかをテストされます。
Yesをチェックすべき項目とNoをチェックすべき項目が混ざっていますので、留意が必要です。
具体的には、(48)・(49)・(50)はYesを、それ以外はNoを記入します。

各項目の意味は下記のようになります。
(47):当該法人は、代理店・名義人・又は導管体としての役割を担っている。
(48):当該法人は、所得及び資産について独立した支配権又は処分権を有する。
(49):当該法人の所得は、所得の50%を超えない範囲で、他社の請求に応じるために使用される。
(50):当該法人は、自己の所有する資産・資本及び負債に関するリスクを負担している。
(51):当該法人は、受け取った所得を第三国へ移転することを義務付ける契約を締結している。

PartⅧは送金の詳細情報を記載する欄です。
配当・利息・ロイヤルティーの場合は1.を、役務提供の対価の支払いは2.を、その他は3.を記入します。

最後に、一番下の欄に署名・住所・日付・役職の記載をしてインドネシア側に送付をします。
この3ページ目については、2ページ目と同様に日本の税務署の認証は不要ですので、実務的にはサインだけしたものを複数枚作成し、あらかじめインドネシア側に送付しておくことは可能です。
以前の記事でも記載した通り、やはり一番問題となってくるのは1ページ目の記載方法です。
1ページ目の記載方法については、アーカイブ「DGT-1フォームの記載方法-1ページ目」 をご確認ください。

インドネシアと日本どちらで税金を支払うのか?

2018 年 1 月 22 日

皆様こんにちは。(株)フューチャーワークスの片瀬です。インドネシアは税金のルールが不透明であり、混乱することも多いと思いますが、基本的なルールは他国と違いありません。まずはベースとなるルールを覚えた上で、イレギュラーな指摘にどのように対応するかを考えていただければと思っております。

今日は、インドネシアと日本のどちらの国で税金を支払うかをテーマとし、課税関係の整理を行います。特に日本の税務調査において、「日本側での支払給与」を指摘されることが非常に多くなっていますので、日本親会社のご担当者様にも当該内容をご連携いただければ幸いです。

【インドネシアと日本のどちらの国で税金を支払うか?】
インドネシアと日本のどちらで税金を支払うのか、皆様の頭を混乱させている要因は大きく分けると実は2つしかありません。

【頭が混乱する要因】
①居住性の判断
②国内(外)源泉所得
※これは本当に重要であり、多くの方が居住者だから課税、非居住者だから非課税というふうに理解しているのですがそれは違います。下記をご確認ください。

Q1:皆さんはインドネシアで働いています。インドネシアで給与をもらい、インドネシアで個人所得税を支払っています。さて、皆さんがインドネシアに個人所得税を支払っている根拠は、「①インドネシアの居住者だからでしょうか?」。それとも、「②インドネシアにて勤務(国内源泉所得に該当)しているからでしょうか?」。

「居住者だから全世界所得課税」や「インドネシア勤務なのでインドネシアの国内源泉所得に該当し課税」や「日本では非居住者に該当するために非課税」や「180日以下だから租税条約により非課税」などと、いろんな所でいろんなことが言われています。これをしっかりと理解するためには体系的に理解することが大切で、そのためにまずは居住性と国内(外)源泉所得の定義づけから始めるべきなのです。

A1:居住者であれば「全世界所得課税」、非居住者であれば「源泉地国課税」、つまり居住者は海外で発生したすべての所得を含めて課税し、非居住者は該当する国で生じた国内源泉所得(地理的な意味における国内源泉所得)のみ課税されるということが、近年の一般的な国際課税の原則となっています。本来であれば、税金は所得に紐づくものであり居住性に紐づくものではないために、インドネシアの国内源泉所得はインドネシアで、日本の国内源泉所得は日本でというふうに「源泉地」によって課税が分かれることが最も理論的です。

ただし、国によって国内源泉所得の定義に違いがあり、各国の国内源泉所得と日本の国内源泉所得でそれぞれ課税した場合には、軽課税国への所得の付替えが可能になったり、また、同一の所得に関して二重課税(又は税金の不納付)が発生してしまったりと、不都合が起きる可能性があります。そのために全世界所得課税という課税形式ができ、二重課税となる部分については租税条約上、外国税額控除によって調整するというルールができたのです。

あくまでも理論的には税金が発生する理由は所得に紐づかなければならないために、この全世界所得課税というものは税金のとりっぱぐれをなくすため、又は、二重課税を排除するための形式的なものと覚えていただいて結構かと思います。
【ポイントまとめ】
全世界所得課税:課税の徴収方法
国内源泉所得 :課税の根拠
※日本で受け取っている給与はインドネシアでの勤務に紐づく支給であるために、「全世界所得課税」によりインドネシアにて税金を支払っているのではなく、「インドネシア国内源泉所得」に該当するためにインドネシアにて税金を支払っているのです。

それでは次の質問に移ります。次の質問は、インドネシアで働いているとこれまた非常によく耳にする「183日」という数字についてです。183日を超えるとインドネシアで税金を支払わなければならないので、年間183日を超えないように調整している方もいらっしゃるかと思います。
Q2:この183日という数字が記載されている条文は、実は2か所あるのです。1つは、「Income tax Low No.16 of 2009」、もう1つは、「租税条約15条(短期滞在者免税)」です。具体的な内容は次の通りです。

【Income tax Low No.16 of 2009(意訳)】
次に該当する者はインドネシアの居住者とする。
①インドネシアに住所を有する
②過去の12か月間において183日超の期間、インドネシアに滞在した
③年度中にインドネシアに滞在し、その後もインドネシアに居住する予定である

【租税条約15条2項(意訳)】
日本(インドネシア)の居住者がインドネシア(日本)国内において行う勤務について取得する報酬に対しては、次の条件より、日本(インドネシア)においてのみ租税を課することができる。
①当該年を通じて合計183日を超えない期間インドネシア(日本)国内に滞在すること。
※その他一定の条件あり

一見すると同じ内容が記載されているように見えるこれらの条文については、どのように読み解けば良いでしょうか?

A:インドネシア国内法については「居住者の定義」を記載しており、租税条約については「短期滞在者免税」について記載しています。同じようにみえるこれらの内容は実は全く違うものなのです。ポイントは次の通りです。
【ポイントまとめ】
●居住者の定義により居住者に該当した場合
全世界所得課税により課税(課税形式が全世界所得課税となる)
●短期滞在者免税の適用対象に該当した場合
インドネシア国内源泉所得に該当しても183日以下の滞在の場合には免税
つまり183日以下の滞在で免税となるのは、国内法による居住者に該当しないためではなく、租税条約の短期滞在者免税の適用対象に該当するためとなります。

近年では、この短期滞在者免税を利用した課税逃れが国際的に問題となっています(183日以下の滞在の場合で各国の国内源泉所得である場合でも、免税としたいがために担当者を183日ごとに交代させて実際にビジネスを行っている国に税金が落ちなくするスキーム)が、インドネシアにおいてはKITASを取得したと同時に「居住者として全世界所得課税」及び「短期滞在者免税の適用不可」とみなされるために、両方をいっしょくたに考える方も多いのかと思っています。
※この部分の線引きがきれいにされておらずに、「全部インドネシアで払いなさい」というのが現状のインドネシアの実態となります。

ちょっと踏み込んだ記載をすると、例えばKITASは取得しているがNPWP(納税者番号)は取得していない方がいたとします。KITASは短期滞在(工場内での作業で年間183日以下)のために取得しているとしましょう。NPWPがないために納税できない該当者は、税務当局にバレた時には、まず間違いなく「税金を支払なさい」と指摘されることになります。ただし、法律を順序立てて解釈すると、租税条約の短期滞在者免税の適用により「納税は免除されるはずだ!」と主張することが可能です。※実際にどのように取り扱われるかは不明。

はたまた、インドネシア税務当局は、「Income Tax Lowより、KITASの取得により年度中にインドネシアに滞在し、その後もインドネシアに居住する予定である旨の意思表示のためインドネシアの居住者として税金を支払わなければならない」と主張してくることも予想されます。
これも上記を理解していると、居住者はあくまでも全世界所得課税とういう課税形式を決定するものであり、それをもって税金を支払わなければならない根拠にはならないと反論することが可能です(税金を支払う根拠は、国内源泉所得であり、当該所得は国内源泉所得に該当するが租税条約によって免税と認められると)。

この部分の取扱いは正直不透明であり、否認されてしまう可能性の方が現状は高いとは思います。ただし、(理論的正当性を)主張できるのと、できないのでは、かなり印象が違いますので是非ともご認識いただければと思います。

1 2 3 4 5 6 7 8 21