インドネシアの移転価格税制⑩ ~機能・リスク分析~

2017 年 5 月 11 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回のテーマは移転価格において重要な「機能・リスク分析」についてです。こちらの移転価格のローカルファイルを作成するにあたり大切な概念となります。基本的に移転価格税制は取引単位ごとに価格の正当性を検証していくものですが、その際に機能・リスクの分析を併せて行います。会社が行っている取引ごとに機能・リスクを分析していくのですが、取引の形態(各取引に付随する機能・リスク)が類似する場合などは、取引を細分化するのではなくある程度まとめて機能・リスクを確認することも可能です。

また、この機能・リスク分析により、一般的な事業であるか、特殊な事業であるか、製造業か、小売業か、などの分析対象会社の特徴を確認することができるようになります。こちらの特徴をもとにビューロ・バン・ダイク社などのデータベースを利用して比較対象企業(比較対象企業とは、移転価格税制における利益率の適正性を証明するために抽出された機能・リスクが類似する第三者企業をいう)の抽出を行っていくのです。

機能やリスクにはいろいろあるために一概に言えませんが機能・リスクには、

【機能の種類】

製造機能・卸売機能・小売機能・研究開発機能・営業機能・購買機能・販売機能など

【リスクの種類】

為替リスク・信用リスク・在庫リスク・研究開発リスク・製造リスクなど

このような種類があります(もちろん会社によって異なります)。これらの機能とリスクを誰がどのように担っているかを検討し、その上で事業の特殊性を判断していくのです。特殊な事業を行っている場合には、比較対象企業が存在しないとされることもありますが、TNMM(取引単位営業利益法)で比較することが多いように思います。また、TNMMを利用する場合には機能・リスクが複雑ではない会社(基本的には子会社)を分析対象企業とし、比較対象企業のピックアップを容易にします。

このように機能・リスク分析を行わなければ比較対象企業の抽出ができません。移転価格ドキュメント作成の際はこの「機能・リスク」と前回お伝えした「無形資産」の整理が重要な概念となりますのでご確認いただければ幸いです。

 

インドネシアの移転価格税制⑨ ~無形資産の整理~

2017 年 5 月 5 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回のテーマは移転価格において重要な「無形資産の整理」についてです。一般に無形資産というとBS(貸借対照表)に計上される特許権や商標権等が思い浮かびますが、移転価格税制における「無形資産の整理」は、例えBSに計上されていない場合等であっても国外関連取引において法人又は国外関連者が使用した無形資産については記載する必要があるとされています。つまり移転価格税制においては知的財産法等における知的財産に限らず、いわゆる”無体資産(ノウハウ、業務マニュアル、指最善モデル、顧客リスト、見積書など)”についても含まれるものと考えられるのです。これらの”無体資産”を含んだ無形資産が国外関連取引において使用された場合に、その無形資産の種類、内容、契約条件等を説明する書類を作成するために「無形資産の整理」を行います。

 

 また、自社の有する無形資産が所得の源泉となっているかどうかを検討するに当たり、例えば、同様の事業を営むが無形資産を有さない法人を把握できる場合には、その法人の利益率等の水準と自社の利益率等の水準を比較することにより、自社の無形資産の形成に係る活動、機能等を十分に分析する必要があるとされています。・・・・がそんなに都合のよい比較対象が簡単にいるはずもなく、自社の無形資産が所得の源泉となっているかの判断についてはある種の感覚的な判断が求められることもあります。

 この「無形資産の整理」において必要な情報は以下の通りです。

 【必要な情報】

①国外関連取引において使用した無形資産の種類並びにその内容

②契約内容(開始時期、金額)

③意思決定、役務提供、費用負担などを誰が、どこで、何を、どのように行ったのかなどの情報

つまり、契約及び行動の内容を基に無形資産の整理を行っていくことが一般的であり、例えば、自社の日本側の技術担当部長が毎月インドネシアに来て業務を行った場合などは、何を行ったのかなどの内容を把握することで無形資産の使用があったのかを確認していくこととなります。ここで重要な概念が「無形資産の使用」と「役務提供」の違いであり、「無形資産の使用=ロイヤルティ(使用料)」と「役務提供=役務提供の対価を請求」によってその請求の内容も変わってくることをしっかりと認識していなければなりません。特に役務提供契約を締結していた場合において、この契約がロイヤルティ認定されてしまうとインドネシアにおいて源泉税の追徴がなされるために注意してください(役務提供の対価は事業所得に該当し、源泉税なしで支払可能。ちなみにロイヤルティ認定されるのが一部であっても全額に対して源泉税課税がなされてしまいます)。

少しそれてしまったので移転価格の話に戻しますと、役務提供でも無形資産の使用でも、どちらにおいても移転価格税制の対象となり独立企業間価格(Arm’s Length Price)で取引がなされることになります。この場合において役務提供であれば総原価をその対価とすることが可能な場合が多いですが、無形資産の使用にあっては、料率の適正性を判断することは非常に難しく、基本的には取引単位営業利益法(TNMM)などにより比較することが主流となっています。

無形資産の整理とは、料率の適正性を判断することが非常に難しい無形資産の使用について客観的に判断をすることを目的として行われるものですので、内容をしっかりと把握できるように整理することが重要となります。

 

「Bridge Note」サービス開始いたしました。

2015 年 10 月 23 日

Bridge Note」サービス開始いたしました。

1 15 16 17 18 19 20 21