所得税法の改正(草案)

2018 年 1 月 10 日

皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。

昨年末から財務省(Ministry of Finance)が、2008年から改正のない所得税法(Income Tax Law)の改正を検討しているようです。法人税の引き下げ・中小企業に対する源泉分離課税(Final Tax)の廃止・E-Commerce事業から発生する所得への課税方法などが検討されています。現在は草案の段階ですが、改正されればインパクトは大きいので引き続き注視が必要です。

不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

USD建ての親子ローン金利3%で税務否認!?

2018 年 1 月 10 日
皆様こんにちは。㈱フューチャーワークスの片瀬です。
最近、ある企業の社長様から「税務署に、ルピア建ての借入は利率3%で良いが、USD建ての借入は利率3%ではだめだ。全額否認。」と言われているとのお話を聞かせてもらいました。税務担当官が言うには、1.5%が適正な利率らしいのですが、その根拠は当然に示してもらえません。その他各国の事例をみると、①親子ローン以外の第三者からの借入がある場合(親会社から第三者への貸付がある場合)にはその金利との整合性、②第三者金利がない場合には、借り手の調達金利、③それも不明確な場合には貸し手の調達金利、④それも不明確な場合には貸し手の国債利回りなどにより検証します。

借り手のUSD建て調達金利は日系メガ(2~3%)から調達するかインドネシアの銀行(8%~10%)から調達するかによって利率がかなり違います。調達金利は低くても2~3%なので一定のスプレッドを付せば3%を超えます。また、LIBORのUSD-SWAP RATE(10年)が2%程度なのでそれにスプレッドを付したとしても3%程度(10年の親子ローン契約、5年では1.75%+スプレッド、1年では1.42%+スプレッド)までなら正常な取引と主張できます。・・・ただしインドネシアなので、理論的に主張することがどこまで通用するかが不明です。上記の1.5%の利率が税務当局のスタンダードではなく、その担当官のスタンダード(その他の会社で同様の指摘は聞かないため)と考えられますが、どのように対応するかは事前に検討しなければなりません(あまりにも低くすると今度は日本の税務調査で利息収入が少ないと言われてしまいます)。

※また、3%を超える利率で設定している場合には、インドネシアの銀行からの調達利率(類する資料を保存)と比較するなどその他の方法で主張するようにしますが、その場合にはリスクもありますので、なるべく上記の方法により金利設定をするようにしてください。
不明点等があれば以下の連絡先までご連絡ください!
片瀬 陽平(yo-katase@futureworks-inc.jp)

インドネシアの移転価格税制㉚ ~移転価格の5つのポイントを実務視点から徹底解説!!~

2017 年 11 月 3 日

皆様こんにちは、㈱フューチャーワークスの片瀬です。先日、タイのブログにて「移転価格ノウハウを蓄積するための5つのベースとなる考え方」という記事を書いたところ、お客様からの反応がかなりよかったので、インドネシアの皆様にもこの5つのポイントについて、「実務寄り」にお伝えができればと思います。

まずは(上記のタイブログの)復習ですが移転価格ドキュメント作成には以下のポイントが含まれます。

【ポイント整理】
①移転価格ドキュメントは税務当局のために作成されるもの
②移転価格ドキュメントで税務リスクをなくすことはできません
③ただし、移転価格ドキュメントの作成はテクニック(見せ方)が大切
④そのためにも背景を伝えることが重要
⑤年度更新業務は自社で行うためにノウハウを付けるべき

インドネシアでは税務調査の際の「立証責任」を納税者がもっているために、税務調査担当官は難癖?(ある種難癖なので・・・)を付けて税金を支払えと脅し?(ある種脅しなので・・・)、反論があるのであれば裁判をかってに起せばいいじゃんと他人事(はっきりと他人事なので・・・)として丸投げしてきます(詳しくは「26回目のコラム:税務調査に係る調査担当官の権限」)。
本来は裁判以外で表立って反証することが出来なかった納税者が移転価格ドキュメントという武器をもって反証することができるようになるということが重要です(現状を見る限りその可能性は大きいと考えています)。

まぁ、調査担当官はアンダーテーブル欲しいだけなので支払ってしまった方が楽だという声も確かにあります(ローカルの会計事務所とか、ローカル経理担当者は、俺がアンダーテーブルの交渉をするから大丈夫と言っていますからね(笑))。これについては会社がどう判断するかなのですが、中にはアンダーテーブルではなく多額の追徴課税を目的に取りに来る調査担当官も混ざっているので、半丁賭博で多額の追徴・裁判のリスクを取って良いのか?しっかりと認識した上での判断が必要です。

少し前の日本の税務調査では、税務当局が国外関連者との取引については「国外関連者に対する寄附金」として該当する取引については取引価額の100%を否認して全額に対する税金を取りにこようとしていました。我々のようなコンサルは、なるべく移転価格の論点で会話できるように根拠付けを行い主張してきました。寄附金は取引額の100%で税金を取られますが、移転価格に論点を移すと取引金額と適正価額との差額に対する税金で済みます。このようなことに頭を使っていました。

ただし、日本においてもその他の各国においても移転価格ドキュメントの整備が進められて、その範囲は中小企業にまで広がってきています。この寄附金と移転価格の論点においても、移転価格ドキュメントの作成義務がある法人については、税務調査担当官から「えっっ?これは寄附金じゃなくて移転価格が論点だって?そんなこと言ったって移転価格ドキュメントに書いてないじゃん」とされてしまいます。実務の税務調査対応の中には「バックデート」で書類を整備するということがあるようですが、移転価格ドキュメントの存在によって「後付け」であることが解ってしまうのです。

ローカルファイルにおいて現在の契約関係をまとめるだけでは「移転価格リスク」は到底なくなりません。例えば上記の「移転価格ノウハウを蓄積するための5つのベースとなる考え方」にも記載しましたが、「自社の国際事業部の担当者が日本に居ながら海外子会社のフォローが主な業務になっていた場合にはその費用は本来海外子会社が負担するべき」、「日本の顧客リストをベースとして海外子会社は営業を行っている場合にはノウハウが移転していると考えるべき(確かアメリカ式)」などのこれらの契約がない取引についても本来はお金のやり取りが必要として税務調査において否認されてしまうこともあります。

そしてもう一つ問題になるのが、この「自社の国際事業部の担当者が日本に居ながら海外子会社のフォローが主な業務になっていた場合にはその費用は本来海外子会社が負担するべき」と日本の税務当局から指摘された場合に、安易にインドネシアから「マネジメントフィー」等で収受するとインドネシアでも否認されるという二重苦がまっているということです。

二重苦にならないためには事前に検証して会社としてのポリシーをもっておくことが非常に重要です(もしかするとそれでも日本の税務当局に指摘されてしまうかもしれません。ただ、知識があれば収受の仕方を検討することができます。私も日本の税務調査で調査担当官から「収受する形式は問わない」というコメントを度々耳にしていますので。

ポリシーがあれば「自社の国際事業部の担当者が日本に居ながら海外子会社のフォローが主な業務になっていた場合にはその費用は本来海外子会社が負担するべき」とされるところを「役務提供ポリシーの中に一言“担当者のサポート活動”を含めており、それに対する一定の対価をもらっている」と主張できれば、その価格が正しいかどうかに論点を移すことができるかもしれません。移転価格調査でなく、通常の日本の税務調査の範囲内では、担当官も「適正価格の立証」は費用対効果が合わないのでやらないでしょう。

この部分について“担当者のサポート活動”と含めていなかったとしても、もっと言ってしまうと役務提供取引に「等」と付けておけばこのサポートはこの「等」の中に含まれていると主張できるかもしれません。ただし、後付けではこれが難しいんです。事前に検討していなければ。

なぜかというと、税務調査の際に「日本の国際事業部の方は普段どんなことしていますか?」「日本で働いている部分に対して子会社からお金もらっていますか?」と聞かれた際に国際事業部の担当者は「もらっていない」と答えてしまうのです。横で私が聞いていれば「あれ??もらっていたと思いますよ??ちょっと調べてみますね」とか言えますが、世の中には国際税務に強い税理士ばかりではありません。しかも「もらっていない」と答えてしまったのは自社の担当者なので、税理士を非難することもできず・・・・。ということになります。

私がメキシコ・インドネシア・タイなどいろいろと海外で経験しているのは、日本だけでは「日本の税務リスク以外排除できない」ためです。日本の税理士に言われた通りにしたら「海外で税金が取られてしまった」としても、納得して行ったのは自社の担当者なので・・・と同じようになってしまいます。理論的に理解できても、実際には否認されてしまっているのであれば、コンサルはそれも検討して対応案を出さなければなりません。日本で活動していてもできないことはありませんが、これがとても難しいのです。

また、インドネシアのように移転価格ドキュメント作成義務がいきなり設定されてしまうと、今現在までに行っていた取引が一番のリスクになってしまいます。新たな取引については、リスクが無いように設定すればいいだけです。今までの取引に対するコメントは、「書く」「書かない」の判断も含めて検討しなければなりません。「どのように伝えるべきか?」「等の中に含めてしまって見えにくくするか?」なども検討しなければなりません。インドネシアのように理論的に発達していない国においては「書く」「書かない」を検討する方がいいように思いますし、日本のように理論的に発達した国においては「どのように書く」かを検討するべきです。

本当は私自身「ドキュメントの作成」というスポット業務ではなく、「国際税務顧問(作成補助)」という業務にしてOJTで一緒にお客さんの社内にノウハウが溜まるようなサービス形態にしなければならないと思っています。1年間掛けて顧問として一緒にドキュメントを作成し、その後に何かあればスポットで契約を結ぶ形式にする方が絶対にコンサルフィーはかかりませんし、国際税務顧問は移転価格だけに範囲を区切りませんのであらゆるノウハウが溜まります。

上記の⑤の「年度更新業務は自社で行うためにノウハウを付けるべき」もこれで達成できますし、他の国に作成義務ができたとしても知識があるので自分たちで作成することができます。いかに自社にノウハウを溜めるかを検討する必要があります。

さて、上記の5つのポイントについて前回の「移転価格ノウハウを蓄積するための5つのベースとなる考え方」とは言葉を変えて実務寄りに記載してみました。移転価格についてもいろいろな角度から検討することが重要です。皆様の移転価格実務の参考になれば幸いです。

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