インドネシアの移転価格税制⑫ ~独立企業間価格算定方法の選定~

2017 年 5 月 25 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。第7回のコラムにて”移転価格の価格算定方法”について記載いたしました(参照:http://futureworks-inc.jp/blog/545)。今回のコラムではこの移転価格の価格算定方法である独立企業間価格の選定について記載します。

インドネシアにおいてもその他各国と同様に独立企業間価格の選定においては”ベストメソッドルール”が採用されています。このベストメソッドルールとは、先日のコラムでお伝えした5つの方法(独立価格比準法=CUP法、原価基準法=CP法、再販売価格基準法=RP法、取引単位営業利益法=TNMM、利益分割法=PS法)の中で、もっとも実態に沿った方法によって独立企業間価格を算出するというものであり、次のような考察を行った上で価格算定方法を選定します。

※ベストメソッドルールのポイントは、1つの方法を選定するのではなく、その他の方法が適用できない理由もしっかりと記載することです。

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<価格算定方法選定における考察>

【CUP法】

CUP法は、内部CUP法(対象企業と第三者の取引、国外関連者と第三者の取引)と外部CUP法(第三者同士の取引)に分類することができ、これらに比較対象取引が確認できる場合に適用することができる独立企業間価格の算定方法です。

対象企業及び国外関連者は、第三者との間で対象資産と同様の棚卸資産を、同様の条件において販売又は購入を行っていません。また、第三者同士の取引を公開データ等から入手することができませんでしたので、CUP法の適用は適切ではないと判断しました。

【CP法】

CP法は、国外関連取引の売手の製造コストに適切な利益を加えることで独立企業間価格を算定します。一般的に製造業の取引価格を評価するために使用されます。

対象企業及び国外関連者は、第三者との間で対象資産と類似した棚卸資産を、類似した条件において販売を行っていません。また、第三者同士の取引を公開データ等から入手することができませんでしたので、CP法の適用は適切でないと判断しました。

【RP法】

RP法は、国外関連取引の買手の再販売価格から適切な利益を差引くことで独立企業間価格を算定します。一般的に卸売業の取引価格を評価するために使用されます。

対象企業及び国外関連者は、第三者との間で対象資産と類似した棚卸資産を、類似した条件において購入を行っていません。また、第三者同士の取引を公開データ等から入手することができませんでしたので、RP法の適用は適切でないと判断しました。

【TNMM】

TNMMは、国外関連取引に係る営業利益により独立企業間価格を算定します。

この方法においては、他の独立企業間価格の算出方法と違い高度な比較可能性を要求されてはおらず、棚卸資産や契約条件の差異による利益率の変動が比較的少ないという利点により、TNMMの適用が適切であると判断しました。

【PS法】

PS法は、対象企業及び国外関連者の双方が無形資産を保有する場合などに使用されます。

対象企業及び国外関連者は、無形資産を保有していないためにPS法の適用は適切でないと判断しました。

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これらの方法は、優先順位順に並べています(PS法は別)。そのために例えばCUP法の適用が適切と判断された場合には、「独立企業間価格の算出方法の選定においてCUP法が最も直接的な方法であります。棚卸資産取引に関してはCUPの適用が適切と判断されていますので、その他の方法は適切でないと判断しました。」というような文言を記載します。

価格の算出方法を選定した後は、いよいよ経済分析に入ります。データベース(ビューロバンダイク、ワンソースなど)を利用して比較対象企業のピックアップを行い、当社のビジネスはしっかりと独立企業間価格で行われているかを確認するのです。

※ちなみに別で書いているブログに「独立企業間価格と時価の違い」を記載していますので、ご興味があればこちら(http://blog.livedoor.jp/bnthailand/archives/15808442.html)もご確認ください。

いかがでしたでしょうか。少しずつコラムの内容も実務的な内容になってきていますので、ローカルファイルを作成する際の参考にしてもらえれば幸いです。また、6月15日(木)にインドネシアにおいて”第2回目の移転価格セミナー”を行おうと考えています。改めて内容等は公表いたしますが、実務でどのようなものを作っているのかを可能な限りで皆様にお見せしようと思っています。こちらについても併せてよろしくお願いいたします。