オムニバス法制定によるビジネスへの影響-③

2021 年 3 月 15 日

【オムニバス法制定によるビジネスへの影響-3】

オムニバス法制定によるビジネスへの影響についての各論点をみてきましたが、今回はオムニバス法細則についてです。

2020年11月に公布されたオムニバス法に関連する細則として、45の政令と4つの大統領令が2月に公布・施行されました。もともと、オムニバス法上では、「詳細は別途大臣令で定める」などとしている文言が多く、細則は2021年2月2日までに定められることになっていました。

実は、実際に細則が公布されたのは、期日から遅れて2月21日だったのですが、政府は2月2日のバックデートで公布・施行するという暴挙に出ました。中には効力の有効日をオムニバス法施行日(20年11月2日)に遡っている規定もありますので、対応を迫られる企業も多いと思います。この細則のうち、特に影響が大きそうなものをみていきたいと思います。

 

<国外源泉所得について>

オムニバス法のなかで、「一定の要件」を満たす外国人について、国外源泉所得を確定申告に含めなくてよいとあり、日本の役員も兼任しているような駐在員については、外国税額控除の手続きを省けるメリットが期待されていました。この「一定の要件」が別途細則で定められることになっていたため、注目されていました。しかし細則では、25種の高度専門人材に限られており、また、外国の公的機関から発行された資格証明などで技能を証明する必要があり、ほとんど対象者がいないと思われます。したがって、原則としては日本で役員の方も、いままで通り役員報酬を含む所得を合算したうえで、外国税額控除を受ける処理が必要となります。

 

<契約報奨金について>

法定退職金は、オムニバス法で正社員に対する退職金金額の計算が一部改訂され、実質減額となりました。その一方で、今回の細則で契約社員に対する「契約報奨金」が新設・明記されました。契約終了または満了時に支払われ、勤続12か月で固定給1か月分、12か月未満の場合は月割りで支給することになります。

既存の契約社員に対しても有効となり、起算日はオムニバス法の施行日の20年11月2日となります。なお、契約社員との契約は最大5年までとなるため、最大で固定給5か月分を支給する必要が出てきます。5年までなら契約期間を柔軟に設定できるようになった一方で、場合によっては正社員を登用するよりもコストが高くなるため、対応を迫られる企業も多いと思われます。

また、前述の通り起算日が20年11月2日となるため、この間に契約が終了または満了した契約社員から請求を受けた場合、支払う必要が出てきそうです。

 

<退職金の計算について>

法定退職金は、退職手当、勤続功労金、損失補償金の3階建てになっており、このうち退職手当は雇用関係の終了事由によって、倍率が決められています。たとえば、8年勤続した従業員の退職手当は9か月分となりますが、オムニバス法以前では合理化を目的とした整理解雇の場合は、2倍となるので、9カ月×2倍 = 18か月の退職金支給が必要でした。この倍率が、一部の事由について小さくなりました。つまり経営者よりに改訂されたことになります。主な変更点は以下の通りです。

 

組織変更(大株主の変更等): 1倍⇒0.5倍

合理化による解雇(赤字状態によるもの):1倍⇒0.5倍

合理化による解雇(いわゆる整理解雇):2倍⇒1倍

破産:1倍⇒0.5倍

警告書発行による懲戒解雇:1倍⇒0.5倍

定年退職(適格年金未加入者):2倍⇒1.75倍

 

ただし、多くの企業では就業規則で2003年労働法に基づく退職金を明記してしまっています。そういったケースでは、就業規則を改訂するまでは、2003年労働法の退職金計算が引き続き有効となります。

就業規則の改訂については、弊社で対応可能です。お気兼ねなくお問い合わせください。

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