オムニバス法制定によるビジネスへの影響-②

2021 年 2 月 16 日

【オムニバス法制定によるビジネスへの影響-②】

オムニバス法制定によるビジネスへの影響について、前回は労働法、付加価値税法、所得税法の3つをみてきましたが、今回はその他の論点(罰科金・外資規制)について、見ていきたいと思います。

 

(4)罰科金(Fine & Penalty)

いままで、税金に関する遅延利息は、月次2%で最大24か月(48%)で一律に計算されていましたが、遅延の事由に応じて、適用される利息が分けられることになりました。また、利率計算の基礎となる基準金利は、毎月財務大臣により決定され、公表されます。これは、2020年12月からすでに公表・運用されています。主な区分は以下の通りです。(利率が低い順)

 

  1. 月利=基準金利÷12

-法人税の申告延長後に発生した未払法人税

-税務調査結果に対して異議申立て、裁判の判決の結果、納税者側が勝訴した場合に得られる利息補償

 

b) 月利= (基準金利+5%)÷12

-修正申告の結果納税不足が判明した場合

-納税期日から遅延して納付した場合(もっとも一般的なケース)

 

  1. c) 月利 = (基準金利+10%)÷12

-税務調査中に、不正確な申告内容について、税務署から査定書(SKP)が発行される前に自発的に納税不足を申告した場合

 

d) 月利 = (基準金利+15%)÷1

-税務調査の結果、税務査定書が発行された場合に、追徴に課せられる利息

-VAT課税事業者登録をしてから3年以内に、販売活動を開始できなかった場合に、それまでに受けたVATの還付額に対して

 

特に影響が大きいと思われるものの1つとして、上記aの「法人税の申告延長後に発生した未払法人税」があります。法人税の納税及び申告は、決算後4カ月が期限で、間に合わない場合に、2か月の延長が受けられます。延長を受ける前の4カ月目において、見込みで法人税の納税をしておかないと、実際の法人税確定申告との差額は遅延ペナルティーの対象となります。会計監査を受けているような場合で、監査前と監査後の課税所得の計算が大きく異なるようなケースでは、多額のペナルティーを課されるようなこともありました。また、見込みの納税が過払になると還付請求=税務調査となるか、泣き寝入りをするかの2択を迫られるため、今回最も低い利率に分類されたことは、ビジネスに大きな影響があると思います。

なお、利率が最大となるdのケースでも、月利1.78%(2020年12月の利率)ですので、全体的にペナルティー額は低くなると考えられます。

 

 

(5)投資法

オムニバス法制定前は、ネガティブリストによって、外国資本から20の業種への投資が禁じられていました。これが6業種のみとなり、その他、一部の事業については、政府管轄事業となりました。それ以外については、原則開放されることになっています。まだ草案の段階ではありますが、いままで外資67%までの規制がかかっていた、ディストリビューターや、フォワーダーが外資に100%開放される見込みです。また、日系のコンビニエンスストアが撤退する要因にもなった、小売業への外資規制も、再度緩和されるという議論も出ています。

また、事業許可はいままで原則NIB(事業識別番号)取得をして、要件を自主的に満たせば事業開始ができていました。これは、個別に当局に承認を得るということではなく、自己申告による事後監査制でしたが、オムニバス法により、事業の種類によって4段階に分けられる、リスクベース・アプローチが取られることになりました。ここでいうリスクとは、安全、環境への影響などの事業の性質に基づいて定められた分類で、KBLI番号(インドネシア標準産業分類)ごとに分けられることになっていますが、具体的には細則で定められることになっています。4分類は以下のようになっています。

 

低リスク事業:NIB取得⇒事業開始

中リスク(低)事業:NIB取得⇒事業主による証書の提出⇒事業開始

中リスク(高)事業:NIB取得⇒政府による証書の発行⇒事業開始

高リスク事業: NIB取得⇒政府による事業許可の発行⇒事業開始

 

ネガティブリストからポジティブリストになったという説明がされることがありますが、いままでも実際にはKBLIコードとよばれる事業番号によって、「投資できる」事業内容が管理されていましたので、ネガティブリストかポジティブリストかという議論はあまり意味がないように思います。

 

 

なお、オムニバス法上では明確ではない各論点について、細則を施行後3か月以内に定めるとしており、2021年2月中に各細則が出てくるものと思います。特に、注目されるのが、労働法と投資法です。労働法については、就業規則への適用や、現従業員に退職金規定が適用されるかどうかなどについて、細則が出てくるものと思われます。投資法のポジティブリストについては、現行のものを引き継ぎつつ、一部規制が緩和される見込みですが、詳細が待たれるところです。

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