インドネシアで実際に起こった不正事例

2018 年 7 月 5 日

今回のテーマは「インドネシアで実際に起こった不正事例」です。皆様は「不正」と聞いた時にどのようなことを思い出すでしょうか。日本でニュースになる不正はそのほとんどが「財務諸表不正」です。不正会計・脱税など財務諸表や申告書を起因とした不正がドラスティックに報道されるために不正というと、この「財務諸表不正」を思い出す方も多いのではないかと思います。

 

一方、海外では?

 

実は海外の子会社で起こっている不正の内、財務諸表不正は企業全体の8%程度という試算があります(日本公認不正検査士協会資料より)。海外では財務諸表不正よりも注意しなければならない不正があるのです。

 

それは「資産不正(横領)」です。

 

下記の図表からも分かるとおり「資産不正(横領)」にあっては小さいものまで含めると企業全体の85%程度にも上ります。今日は実際にあった「資産不正(横領)」の実際の手口を皆様にお伝えできればと思います。

 

 

【購買担当者へのキックバックにかかる事例】

まずは次の図をご覧ください。

 

 

この「購買担当者へのキックバックにかかる不正」の問題点は、「財務諸表には現れない」というところにあります。日本で度々行われている「財務諸表不正」は、一般的に財務諸表に現れるために監査をしっかりしていれば排除できますが、この「キックバックにかかる不正」は財務諸表を見るだけでは排除することができません。

 

なぜか?これについては仕訳を見ると一目瞭然です。

 

【キックバックにかかる不正の仕訳例】

仕入    20,000/ 買掛金    20,000

 

仕訳はこれだけです。皆様もよくみる仕訳例だと思います。この仕入の20,000が通常価格よりはるかに高いことが問題ですが、仕訳自体に何ら変な個所はありません(証憑類も適正)。

 

親会社に毎月監査済みの決算書を送ってチェックをしているかと思いますが、それでも不正が排除できないのは決算書からでは不正が読み解けないという問題点を抱えているためです。監査によって確認できる不正はそのほとんどが「財務諸表不正」であることを認識しなければなりません。

 

そのために監査法人は監査手続以外に、「内部統制」という手続を踏むのです。この内部統制手続で作成する資料の1つである「業務フロー」を確認してみることにします(購買業務フローの一部分を抜き出して記載します)。

 

【POINT1について】

業務担当者(Person In Charge)と購買担当者(Purchasing)が分かれていることが大きなポイントとなります。

大企業では当たり前に分かれているものであっても中小企業においては、業務担当者が購買についても行っていることがありますので、その際は次のPOINT2において、不正が起きていないかをしっかりと確認をする必要があります。

 

【POINT2について】

マネージャーとダイレクターがそれぞれ承認しサインをします。しっかりとした承認ポイントを置くことが不正を防止する大きなポイントになります。

 

しかし、インドネシアで実際に起こったものはこれらのPOINTについても、しっかりとケアされていました。それでも不正が防げない。それは何故でしょうか。

 

【承認及び業務分掌をしていても不正が防げない理由】

この「購買担当者へのキックバックにかかる事例」において、キーポイントとなる部分は「承認」でも「業務分掌」でもありません。キーポイントは「価格の適正性」です。上記の業務フローでも購買部(Purchasing)とマネージャーとダイレクターの3人を経由して(価格のチェックをして)購入しているにも関わらず、インドネシアにおけるその「モノ」の適正価格を誰も把握していませんでした。

それだけではありません。マネージャーは不正を防止するために(適正価格を把握するために)PIC(担当者)に相見積もりも取らせていました。3社の中で一番安い金額を選んだはずなのに不正が起こってしまっています。

 

キーポイントさえ押さえておけば、相見積もりを取るのはPIC(担当者)ではなく、購買部に取らせるような業務フローを作っていたはずです(これが実体にあった業務分掌)。ただ、上記の業務フローを一見して「ここにリスクがある!」と指摘できる人はほとんどいません。

 

業務フローの作成は自社で行うことも可能ですが、問題点に気が付かない場合もあるので、必ず担当するコンサルのチェックを入れる必要があります。正直、海外の人材の方が(相対的に)このような小金稼ぎの不正テクニックを持っていますので、業務フローを作成する際には細かな部分のケアまでしっかりと行ってもらえればと思います。

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