インドネシアの移転価格税制⑦ ~価格算定方法~

2017 年 4 月 21 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回のテーマは移転価格の価格算定方法についてです。独立企業間価格(移転価格税制では、関係会社取引においても独立した第三者取引の価格と同水準の価格であることが求められ、その価格を独立企業間価格という。)の算定に当たっては、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、取引単位営業利益率法、利益分割法の5種類の方法より一番実態に則している方法を選定します(ベストメソッド方式)。それでは独立企業間価格の算定方法を一つずつ確認してみましょう。

 

【独立価格比準法】

独立価格比準法とは、特殊関係にない売手と買手が、国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を当該国外関連取引と同様の状況の下で売買した取引額をもって国外関連取引の対価の額とする方法をいいます。関係会社取引における次の条件を満たす内部コンパラブル(第三者との間で行われる類似の取引)がある場合には、独立価格比準法の採用を検討します。

・社内の製品区分(型番)は異なるが、性状、構造、機能等の面で同様の製品である場合

・関係会社取引と第三者取引において機能面での差がない場合

・取引規模もおおむね同様であり、両取引の契約条件(引渡条件、決済条件、製品保証、返品条件等)も同様の場合など

 

【原価基準法】

原価基準法とは、国外関連取引に係る売手の棚卸資産の購入、製造その他の行為により取得した原価の額に通常の利潤の額を加算して計算した金額をもってその国外関連取引の対価の額とする方法をいいます。関係会社取引における次の条件を満たす内部コンパラブル(第三者との間で行われる類似の取引)がある場合には、原価基準法を採用を検討します。

・同種の製品ではないが、性状、構造、機能等の面で類似する製品である場合

・関係会社取引と第三者取引において機能面で類似し、独自性のある活動は見られない場合

・両取引の契約条件(引渡条件、決済条件、製品保証、返品条件等)はおおむね同様である場合など

 

【再販売価格基準法】

再販売価格基準法とは、国外関連取引に係る買手の棚卸資産の販売その他の行為による販売価格から通常の利潤の額を控除して計算した金額をもってその国外関連取引の対価の額とする方法をいいます。よって、製造業者や加工業者には向かない方法となります。関係会社取引における次の条件を満たす内部コンパラブル(第三者との間で行われる類似の取引)がある場合には、再販売価格基準法の採用を検討します。

・買手が独自性のある広告宣伝・販売促進活動は行っていない場合

・競合商品であり、同種の商品ではないが、性状、構造、機能等の面で類似している場合

・売上規模や販売機能(広告宣伝、販売促進、アフターサービス、包装、配達等)がおおむね同様である場合など

 

なお、これらの3つの方法は「基本三法」と呼ばれ客観性の高い方法と考えられていますが、内部コンパラブルがない場合には比較可能な取引の抽出が難しい場合が多く、次のTNMMが実務上採用されることが多い傾向にあります。その場合には、「独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法については、比較可能な取引を把握できなかったということから適用できない」というような文言をドキュメントに記載し、TNMMがベストメソッドであることを記載します(その他の方法の否定によりベストメソッドを抽出することが一般的)。

 

【取引単位営業利益法(TNMM:Transactional Net Margin Method)】

原価基準法及び再販売価格基準法が類似企業の売上総利益率をベースに価格算定を行うのに対し、TNMMは類似企業の営業利益率をベースに価格算定を行う方法となります。検証対象者が製造業者か販売業者か(又は買手か売手か)に応じ、類似企業の総費用営業利益率又は売上高営業利益率等を用いて検証対象者が獲得すべき営業利益を算定し、そこから取引価格を逆算する方法です。また、この方法の採用は、より簡易な機能を担っている会社を検証対象とすることが多く、それゆえに比較可能な取引の抽出もその他の方法に比べ簡単である場合が多く、実務上採用されやすい方法となります。

 

【利益分割法】

利益分割法は、関連者間取引の合算利益に対して貢献した貢献度に基づき、各自の利益額を算定する方法であるために各関連企業が関連者取引から得る総利益(見積利益)を算定してから計算します。利益分割法には、比較利益分割法、寄与度利益分割法、残余財産分割法があります。ただし、利益分割法は、比較対象取引に係る所得配分割合や対象となる国外関連取引に係る所得発生要因を推測することが難しく、実務上採用されづらい方法となります。

 

ポイントは内部コンパラブル(第三者との間で行われる類似取引)があるか否かと販管費に該当する関連者間取引があるか(営業利益での比較=TNMM)などになります。ただし、ローカルのコンサル会社などにレポート作成を依頼した場合には、どんな場合でもTNMMを利用することが散見されますが、しっかりと他の方法の検証をしなければ移転価格調査で問題となってしまうこともありますので注意していただければと思います。

さて今回のコラムはいかがでしたでしょうか。次回は、移転価格の二重課税のリスクについて、日本の実態を基にインドネシアにおける追徴額がどれくらいになるかを考えてみようと思っています。それでは次回コラムもよろしくお願いいたします。

 

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