インドネシアの移転価格税制⑥ ~調査対象となりやすい会社~

2017 年 4 月 14 日

皆様こんにちは。フューチャーワークスの片瀬です。今回のテーマは移転価格調査の対象となりやすい会社についてです。昨年の12月末にインドネシアの移転価格税制(PMK213)が改正され、今月末(2017年4月末)に多くの企業がドキュメントの保存期限を迎えます。未だこのPMK213を基にした移転価格調査はありませんが、どのような企業に移転価格調査が入りやすいかについては、既に移転価格税制が整備された各国において前例がありますので、今日はその前例を確認してまいりましょう。

 

インドネシアにおいても、移転価格の調査に入られる企業はその他各国と変わりませんので、次に掲げる企業に関しては調査の可能性が高いと認識してもらえればと思います。

【調査可能性が高い企業】

①過去に赤字の事業年度がある

②前年までは黒字であったが赤字に転落した

③利益率が一定ではない

④原価割れで販売している個別の製品群がある

⑤売上又は仕入の大部分が関連会社からのものである

⑥親会社への多額のロイヤルティ、役務提供フィーを支払っている

⑦最終消費財を製造する企業であり、かつ同業他社と比較して価格が大きく異なる

⑧同種の製品や材料等を関連会社とは異なる価格で取引している

 

これらの中で毎年の申告書から税務当局が簡単に確認できる項目は①から③となり、そのため(特に機能・リスクが限定的な)赤字企業や利益率が一定でない企業に関しては調査に入られやすいのです。また、インドネシアには人件費や土地が安いというマーケットプレミアムがあるにも関わらず、利益が出ていないのは価格を操作しているためという論理で指摘されてしまいます。つまり赤字企業は税務当局からしたら”入りやすい”、かつ、”取りやすい”とされているのです。これは移転価格税制が整備された他の各国でも顕著であり、まずは赤字企業から指摘される傾向にあります。

 

調査に入られやすい企業は赤字企業と分かりましたが、調査に入られた後に追徴が取られやすいという企業はどのような企業でしょうか。

もちろん前述の通り、赤字企業は調査に入られた後にも取られやすく、他にも内部コンパラブル(第三者との間で行われる類似の取引)があるにも関わらず、関連当事者間の取引との価格(料率)に差異があるような場合は取られやすいので注意が必要です。もう少し簡単に言うと同じ製品を親会社と第三者に違う価格で販売していた場合には取られやすい。つまり、親会社は子会社との間の取引価格を決められるからといって、子会社が第三者に対して2,000円で売っているものを子会社から1,000円で購入していれば通常よりも1,000円利益が少なくなるために、この1,000円に対して税務当局から税金をかけるよう指摘されてしまうのです。

難しい言葉を取っ払うなら、①親会社と同じものを違う会社に違う価格で売っている(買っている)、②親会社と似ているものを違う会社に違う利益率で売っている(買っている)ときは違う会社に売った(買った)価格(利益率)が正しいとされてしまうのです。この①の場合には、「独立価格比準法」を、②の場合には「原価基準法又は再販売価格基準法」をそれぞれ採用するのですが、この価格の算定方法については次回のコラムにしましょう。

さて、今回は移転価格の調査対象となりやすい企業をピックアップしましたが、①調査対象となりやすい企業と②調査に入られた際に多額の追徴が科される企業をしっかりと分けて考えていただければと思います。それでは次回のコラムをお楽しみに!

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